学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ27P094

理由で解く 柔道整復師

QJ27P094 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問94
問題
クワドリラテラルスペース症候群で誤っているのはどれか。
選択肢
1 腋窩神経の絞扼性障害である。
2 肩関節外転動作が困難となる。
3 棘下筋に萎縮がみられる。
4 肩外側に感覚障害を認める。
解答
正解3(棘下筋に萎縮がみられる。)
解説

この設問は「誤っているもの」を選びます。四辺形間隙を通るのは腋窩神経で、萎縮するのは三角筋と小円筋です。棘下筋は肩甲上神経の支配なので、3が答えになります。

四辺形間隙(クワドリラテラルスペース)は、上を小円筋、下を大円筋、内側を上腕三頭筋長頭、外側を上腕骨外科頸で囲まれた隙間で、ここを腋窩神経と後上腕回旋動脈が後方から前外側へ抜けていきます。投球のコッキングからフォロースルーのように肩の外転・外旋を繰り返す動作では、この隙間が狭くなって腋窩神経が絞扼されます。腋窩神経は三角筋と小円筋を支配し、上外側上腕皮神経として肩外側の皮膚感覚も担うので、症状は外転力の低下、三角筋の萎縮、肩外側の感覚障害という組合せになります。一方、棘上筋・棘下筋を支配するのは肩甲上神経で、棘下筋だけの萎縮は肩甲切痕から棘窩切痕にかけての絞扼(ガングリオンなど)でみられる所見です。「どの神経がどの筋とどの皮膚を担当するか」で切り分けるのが確実です。

✓ 3. これが誤り(設問の答え)
棘下筋に萎縮がみられる。
棘下筋は肩甲上神経の支配で、腋窩神経の支配下にありません。本症で萎縮するのは三角筋(と小円筋)です。棘下筋単独の萎縮は肩甲上神経の絞扼を考えます。
✗ 1. 記述は正しい(答えではない)
腋窩神経の絞扼性障害である。
四辺形間隙を通る腋窩神経が絞扼される病態です。肩の外転・外旋を繰り返す競技で発症しやすいことが知られています。
✗ 2. 記述は正しい(答えではない)
肩関節外転動作が困難となる。
腋窩神経が支配する三角筋の筋力が低下するため、肩関節の外転が行いにくくなります。
✗ 4. 記述は正しい(答えではない)
肩外側に感覚障害を認める。
腋窩神経の枝である上外側上腕皮神経が肩外側の皮膚感覚を担うため、同部の感覚障害が出ます。
ポイント
  • 四辺形間隙の境界は、上=小円筋、下=大円筋、内側=上腕三頭筋長頭、外側=上腕骨外科頸。
  • 通るのは腋窩神経と後上腕回旋動脈。肩の外転・外旋の反復で絞扼される。
  • 腋窩神経の支配=三角筋・小円筋、感覚=肩外側(上外側上腕皮神経)。
  • 棘上筋・棘下筋は肩甲上神経の支配。棘下筋単独の萎縮は肩甲上神経絞扼を疑う。
  • 三角筋萎縮と肩外側の感覚低下がそろったら、まず腋窩神経の走行を疑って評価する。
比較表
クワドリラテラルスペース症候群肩甲上神経絞扼
絞扼される神経腋窩神経肩甲上神経
絞扼部位四辺形間隙肩甲切痕・棘窩切痕
萎縮する筋三角筋・小円筋棘上筋・棘下筋(棘窩切痕なら棘下筋のみ)
感覚障害肩外側にありなし(運動枝が主体)
目立つ機能低下外転外旋(棘下筋)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。