学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ27P085

理由で解く 柔道整復師

QJ27P085 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問85
問題
反復性肩関節脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 上腕二頭筋長頭腱損傷の合併が多い。
2 サルカス徴候が出現する。
3 高齢者に多くみられる。
4 肩甲下筋が障害される。
解答
正解4(肩甲下筋が障害される。)
解説

反復性肩関節脱臼のほとんどは前方脱臼の反復であり、前方の静的支持機構(関節唇・関節包)とともに、前面を覆って動的に支える肩甲下筋の働きが損なわれる。

初回の前方脱臼で関節窩前下縁の関節唇・関節包が剥離し(バンカート損傷)、上腕骨頭の後外側に骨欠損ができる(ヒルサックス損傷)と、前方の受け皿が浅いまま治癒する。その結果、外転・外旋という日常動作でも骨頭が前方へ逃げてしまい、脱臼を繰り返すようになる。若年(10〜20歳代)で初回脱臼を起こした例ほど反復性へ移行しやすい。肩甲下筋は肩関節の前面を覆い、骨頭が前方へ逸脱するのを動的に押さえている筋で、脱臼のたびに引き伸ばされて機能が低下する。診察では外転・外旋を強制したときに強い不安感を訴える(アプリヘンションサイン陽性)ことが手がかりになる。日常では外転外旋の強制を避けるよう指導し、肩甲下筋を含む腱板と肩甲骨周囲筋の筋力強化、および挙上動作の再教育を行う。

✓ 4. 正しい
肩甲下筋が障害される。
肩関節前面を覆い骨頭の前方逸脱を止める筋で、脱臼の反復により伸張・機能低下する。再発予防では肩甲下筋を含む腱板の強化が中心になる。
✗ 1. 誤り
上腕二頭筋長頭腱損傷の合併が多い。
反復性脱臼で中心となるのは関節唇・関節包・関節上腕靱帯といった前下方支持機構の損傷。上腕二頭筋長頭腱の障害は結節間溝での摩耗や腱板断裂に伴うもので、反復性脱臼の典型的な合併ではない。
✗ 2. 誤り
サルカス徴候が出現する。
上肢を下方へ引くと肩峰下にくぼみができる所見で、下方・多方向の不安定性(動揺性肩関節)を示す。反復性前方脱臼で問題になるのはアプリヘンションサイン。
✗ 3. 誤り
高齢者に多くみられる。
若年者に多い。高齢者の初回脱臼では腱板断裂や大結節骨折を合併しやすい一方、関節包が硬く反復性へは移行しにくい。
ポイント
  • 反復性肩関節脱臼の大半は前方脱臼の反復。若年者に多い。
  • 病態はバンカート損傷(関節唇・関節包の剥離)とヒルサックス損傷(骨頭後外側の陥凹)。
  • 前面を動的に支える肩甲下筋の機能が低下する。
  • アプリヘンションサイン陽性。サルカス徴候は動揺性肩関節(下方不安定性)の所見。
  • 外転外旋の強制を避け、腱板・肩甲骨周囲筋の強化と動作の再教育を行う。
比較表
反復性肩関節脱臼動揺性肩関節(ルーズショルダー)
不安定性の方向前方(外転外旋で不安定)下方・多方向
誘発テストアプリヘンションサインサルカス徴候
背景外傷による初回脱臼(バンカート損傷)関節弛緩性など非外傷性が主
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。