学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ26P091

理由で解く 柔道整復師

QJ26P091 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問91
問題
肘関節後方脱臼の転位で正しいのはどれか。
選択肢
1 関節包の後外側面が断裂する。
2 上腕骨遠位端が後方へ転位する。
3 橈骨頭は上腕骨小頭の外側面に接する。
4 尺骨鈎状突起は上腕骨滑車の後壁に接する。
解答
正解4(尺骨鈎状突起は上腕骨滑車の後壁に接する。)
解説

肘関節後方脱臼では前腕骨が後上方へ転位するため、尺骨鈎状突起は上腕骨滑車の後方(後壁)に接する位置に移動する。

転倒して手をつき、肘が過伸展されると肘頭が肘頭窩に突き当たって支点となり、前腕全体が後方へ押し出される。このとき関節包は前壁が破れ、上腕骨遠位端は相対的に前方へ突出して肘窩で触れるようになる。関節面の位置関係でみると、橈骨頭は上腕骨小頭の後面へ、尺骨鈎状突起は滑車の後方へ移動する。肘頭が高位となるため、上腕骨内側上顆・外側上顆・肘頭でつくるヒューター三角とヒューター線が乱れるのが特徴で、この三角関係が保たれる上腕骨顆上骨折(伸展型)との重要な鑑別点になる。上腕動脈・正中神経・尺骨神経が前方で牽引・圧迫を受けうるので、整復前後に必ず末梢の脈拍・知覚・運動を確認し、整復後は肘関節90度屈曲・前腕中間位で固定して早期からの手指運動を促す。

✗ 1. 誤り
関節包の後外側面が断裂する。
前腕が後方へ抜けるため破れるのは関節包の前壁(前面)である。後方の関節包はむしろ押し広げられる側で、断裂部位の記述が逆になっている。
✗ 2. 誤り
上腕骨遠位端が後方へ転位する。
後方へ転位するのは前腕骨。上腕骨遠位端は相対的に前方へ突出し、肘窩で骨隆起として触れる。主語が入れ替わっている。
✗ 3. 誤り
橈骨頭は上腕骨小頭の外側面に接する。
接するのは小頭の後面。外側面に移動するのは側方脱臼の際の位置関係であり、後方脱臼の転位方向と一致しない。
✓ 4. 正しい
尺骨鈎状突起は上腕骨滑車の後壁に接する。
前腕が後方へ転位した結果、本来は滑車の前下方にある鈎状突起が滑車の後方へ回り込む。後方脱臼の転位を端的に表した記述である。
ポイント
  • 後方脱臼=前腕骨が後上方へ転位。関節包は「前壁」が断裂する。
  • 橈骨頭は小頭の後面、尺骨鈎状突起は滑車の後方に位置する。
  • 上腕骨遠位端は相対的に前方突出し、肘窩で触れる。肘頭は高位となる。
  • ヒューター三角・ヒューター線の乱れが脱臼、保たれていれば顆上骨折(伸展型)を疑う。
  • 整復前後に上腕動脈・正中神経・尺骨神経の状態を確認し、整復後は肘90度屈曲位で固定する。
比較表
項目肘関節後方脱臼上腕骨顆上骨折(伸展型)
ヒューター三角乱れる保たれる
肘頭の高さ高位となる正常
固定性弾発性固定異常可動性・軋轢音
関節包前壁が断裂骨折部の血腫が主
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。