学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ26P092

理由で解く 柔道整復師

QJ26P092 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問92
問題
股関節後方脱臼で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 股関節過伸展時に股関節の外転、外旋が強制され発生する。
2 転位した大腿骨頭の隆起が鼡径部の皮下で触れる。
3 整復障害因子として関節包裂孔部の狭小がある。
4 下肢の重さと重力を利用した整復法としてスティムソン法がある。
解答
正解3(整復障害因子として関節包裂孔部の狭小がある。)、4(下肢の重さと重力を利用した整復法としてスティムソン法がある。)
解説

股関節後方脱臼で正しいのは、整復障害因子として関節包裂孔部の狭小があること(ボタン穴機構)と、下肢の重さと重力を利用する整復法がスティムソン法であることの2つ。

後方脱臼は股関節を屈曲・内転・内旋した肢位で大腿長軸方向に外力を受けて起こる。自動車事故で膝をダッシュボードに打ちつける、いわゆるダッシュボード損傷が典型である。骨頭は寛骨臼の後上方へ抜け、患肢は屈曲・内転・内旋位をとり、骨頭の隆起は殿部の皮下で触れる。関節包の裂け目が狭いと骨頭がそこに引っかかって戻らなくなり、これが代表的な整復障害因子(ボタン穴機構)となる。スティムソン法は腹臥位で患肢を診療台の端から下垂させ、下肢の重さと重力で持続牽引をかけながら下腿を下方へ押す方法で、筋の防御収縮を招きにくいのが利点である。坐骨神経は骨頭のすぐ後方を走るため、下腿外側から足背の知覚と足関節背屈力を必ず確認し、麻痺があれば速やかに医療機関へつなぐ。

✗ 1. 誤り
股関節過伸展時に股関節の外転、外旋が強制され発生する。
伸展位で外転・外旋が強制される機序は前方脱臼のもの。後方脱臼は屈曲・内転・内旋位で大腿長軸方向に外力が加わって発生する。
✗ 2. 誤り
転位した大腿骨頭の隆起が鼡径部の皮下で触れる。
鼠径部で骨頭を触れるのは前方脱臼(恥骨下脱臼など)。後方脱臼では骨頭は寛骨臼の後上方にあり、殿部の皮下で触知される。
✓ 3. 正しい
整復障害因子として関節包裂孔部の狭小がある。
破れた関節包の裂け目が狭いと骨頭が締めつけられて戻らない(ボタン穴機構)。牽引を強めるだけでは解決せず、適切な操作や観血的整復の判断が必要になる。
✓ 4. 正しい
下肢の重さと重力を利用した整復法としてスティムソン法がある。
腹臥位で患肢を台の端から垂らし、重力で持続牽引をかけながら下腿を下方へ押す。筋の防御収縮を起こしにくい整復法として知られる。
ポイント
  • 後方脱臼の機序は屈曲・内転・内旋位+大腿長軸方向の外力(ダッシュボード損傷)。
  • 患肢は屈曲・内転・内旋位、骨頭は殿部で触れる。前方脱臼は伸展・外転・外旋位で鼠径部触知。
  • 整復障害因子=関節包裂孔部の狭小(ボタン穴機構)。無理な牽引では戻らない。
  • スティムソン法は腹臥位・患肢下垂で重力を利用する整復法。
  • 坐骨神経麻痺(下垂足、下腿外側〜足背の知覚障害)の確認は必須。
比較表
項目後方脱臼前方脱臼
受傷肢位屈曲・内転・内旋伸展・外転・外旋
患肢の肢位屈曲・内転・内旋位外転・外旋位
骨頭の触知部位殿部鼠径部
注意すべき合併症坐骨神経損傷・骨頭壊死大腿動静脈・大腿神経の圧迫
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