学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ26P090

理由で解く 柔道整復師

QJ26P090 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問90
問題
反復性肩関節脱臼の原因で誤っているのはどれか。
選択肢
1 バンカート損傷
2 ヒル・サックス損傷
3 関節上腕靱帯断裂
4 肩峰下インピンジメント症候群
解答
正解4(肩峰下インピンジメント症候群)
解説

反復性肩関節脱臼の背景にあるのは、初回脱臼で壊れた前下方の制動機構(関節唇・関節上腕靱帯・骨頭)である。肩峰下インピンジメント症候群は不安定性の原因ではない。

肩関節前方脱臼を繰り返す症例では、関節窩前下縁の関節唇が関節包・靱帯とともに剥離するバンカート損傷、骨頭後外側が関節窩前縁に衝突してできる陥凹骨折であるヒル・サックス損傷、前下関節上腕靱帯を中心とした関節上腕靱帯の断裂・弛緩がみられる。いずれも外転・外旋位で骨頭を前方から受け止める仕組みを失わせるため、日常動作でも脱臼を繰り返す。これに対し肩峰下インピンジメント症候群は、腱板や肩峰下滑液包が烏口肩峰アーチと衝突して疼痛と挙上時の引っかかりを生じる病態であり、関節の不安定性を直接もたらすものではない。反復する脱臼は保存療法で治りにくく手術適応となることも多いため、疑ったら医師の診察につなぎ、施術では外転外旋を避けた運動指導と肩甲帯・腱板の機能訓練を行う。

✗ 1. 反復性脱臼の原因(=答えではない)
バンカート損傷
関節窩前下縁の関節唇が関節包・靱帯とともに剥離した状態で、前方への受け皿が失われる。反復性肩関節前方脱臼の最も代表的な原因病変であり、初回脱臼時に生じて治癒しないまま残ることが多い。
✗ 2. 反復性脱臼の原因(=答えではない)
ヒル・サックス損傷
脱臼時に骨頭後外側が関節窩前縁に衝突してできる陥凹(圧迫)骨折。陥凹が大きいと外転外旋時に関節窩前縁にはまり込んで骨頭が滑り出しやすくなり、反復性脱臼を助長する。
✗ 3. 反復性脱臼の原因(=答えではない)
関節上腕靱帯断裂
外転外旋位で骨頭の前方移動を制動する主役は前下関節上腕靱帯である。これが断裂・弛緩すると前方制動が失われ、不安定性が残って脱臼を繰り返す。
✓ 4. これが答え(原因ではない)
肩峰下インピンジメント症候群
腱板(主に棘上筋腱)や肩峰下滑液包が烏口肩峰アーチと衝突して疼痛・引っかかりを生じる病態で、挙上時の有痛弧やニアテスト陽性が特徴。疼痛性疾患であって関節の不安定性を生む病変ではなく、反復性脱臼の原因としては誤り。
ポイント
  • 反復性肩関節脱臼の三大要因=バンカート損傷(関節唇剥離)、ヒル・サックス損傷(骨頭後外側の陥凹骨折)、関節上腕靱帯(特に前下)の断裂・弛緩
  • いずれも外転・外旋位での前方制動を失わせる。したがって脱臼を誘発する肢位は外転・外旋・水平伸展
  • 不安定性のテスト:アプリヘンションテスト、リロケーションテスト。
  • 肩峰下インピンジメント症候群は疼痛の病態(有痛弧、ニアテスト、ホーキンステスト)で、不安定性とは別。
  • 初回脱臼が若年ほど反復しやすい。反復例は手術適応となることが多く、医師の診察につなぎつつ、誘発肢位を避けた腱板・肩甲帯の機能訓練を行う。
比較表
反復性肩関節脱臼(不安定症)肩峰下インピンジメント症候群
本質前下方制動機構の破綻(不安定性)腱板・滑液包と烏口肩峰アーチの衝突(疼痛)
病変バンカート損傷、ヒル・サックス損傷、関節上腕靱帯断裂腱板炎・肩峰下滑液包炎、腱板断裂
症状外転外旋位での脱臼・不安感挙上時の疼痛(有痛弧)、夜間痛
徒手検査アプリヘンション/リロケーションニア/ホーキンス
脱臼の反復起こす起こさない
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