学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ25P079

理由で解く 柔道整復師

QJ25P079 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問79
問題
患者をベッド上で腹臥位とし、患側上肢をベッドの端から下垂させ、重りをつけて牽引し自然整復させる肩関節前方脱臼の整復法はどれか。
選択肢
1 スティムソン法
2 ヒポクラテス法
3 ミルヒ法
4 モーテ法
解答
正解1(スティムソン法)
解説

腹臥位で患側上肢をベッドの端から下垂させ、重りで持続牽引して自然整復を待つ方法はスティムソン法である。術者の力ではなく、重量と筋弛緩を利用する点が特徴となる。

肩関節前方脱臼の整復法は、力の加え方によって整理できる。スティムソン法(懸垂法)は患者を腹臥位とし、患肢を台の端から垂らして手首や前腕に数kgの重りを吊るす。持続的な牽引が数分から十数分かけて肩周囲筋の攣縮を解き、骨頭が自然に関節窩へ戻る。術者が強い力を加えないため軟部組織や骨への負担が小さく、高齢者や疼痛の強い症例でも用いやすい。これに対しヒポクラテス法は術者の踵を腋窩に入れて支点とし、上肢を牽引する古典的方法、ミルヒ法は肩を外転・外旋しながら骨頭を関節窩へ押し込む方法、モーテ法は助手による対抗牽引のもとで術者が上肢を牽引・誘導する方法で、いずれも術者が能動的に力を加える。

✓ 1. 正しい
スティムソン法
腹臥位・患肢下垂・重りによる持続牽引という設問の記述がそのまま合致する。重量と時間で筋の攣縮を解く自然整復法である。
✗ 2. 誤り
ヒポクラテス法
背臥位の患者の腋窩に術者の踵を入れて支点とし、患肢を長軸方向に牽引する方法である。体位も力の加え方も設問の記述と異なる。
✗ 3. 誤り
ミルヒ法
肩関節を外転・外旋させながら、もう一方の手で骨頭を関節窩へ押し上げる方法である。重りを用いる持続牽引ではない。
✗ 4. 誤り
モーテ法
助手が長布などで体幹を対抗牽引し、術者が患肢を牽引しながら誘導する方法である。術者と助手の力を用いる点で設問の自然整復法とは異なる。
ポイント
  • スティムソン法=腹臥位・患肢下垂・重りによる持続牽引で自然整復を待つ方法。
  • 利点は軟部組織や骨への負担が小さいこと。高齢者や疼痛が強い症例に向く。
  • ヒポクラテス法=踵を腋窩に入れて支点とし牽引する古典的方法。
  • ミルヒ法=外転・外旋しながら骨頭を関節窩へ押し込む方法。
  • 整復前後で腋窩神経(肩外側の感覚)と橈骨動脈拍動を必ず確認し、整復困難や神経症状があれば医師の診察につなぐ。
比較表
整復法体位力の加え方
スティムソン法腹臥位・患肢下垂重りによる持続牽引(自然整復)
ヒポクラテス法背臥位踵を腋窩に入れ支点として牽引
ミルヒ法背臥位(座位も可)外転・外旋しつつ骨頭を押し込む
モーテ法座位・背臥位助手の対抗牽引+術者の牽引・誘導
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