学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ27P086

理由で解く 柔道整復師

QJ27P086 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問86
問題
橈骨頭脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 後方に脱臼することが多い。
2 前腕回外強制で発生する。
3 尺骨骨折を伴うことが多い。
4 前骨間神経損傷を合併する。
解答
正解3(尺骨骨折を伴うことが多い。)
解説

橈骨頭が単独で外れることはまれで、多くは尺骨骨幹部骨折を伴うモンテギア(Monteggia)脱臼骨折として現れます。したがって正しいのは3です。

前腕は橈骨・尺骨・骨間膜・上下橈尺関節がつながって一本の「輪」をつくっています。輪の一部である橈骨頭が外れるには、輪のどこかがもう一か所破綻していなければならず、その破綻が尺骨骨幹部の骨折として現れます。最も多い伸展型では、前腕回内位で手をついたところにさらに回内が強制され、尺骨が前方凸に折れて橈骨頭が前方(掌側)へ逸脱します。前方に押し出された橈骨頭は、橈骨頸部を回り込む後骨間神経を圧迫しやすく、手指MP関節が伸ばせない下垂指を合併することがあります。橈骨頭の脱臼を疑ったら、肘だけでなく前腕全長のエックス線評価を医師に依頼し、尺骨の骨折を確認することが第一歩です。

✓ 3. 正しい
尺骨骨折を伴うことが多い。
前腕を一つの輪と考えると、橈骨頭が輪から外れるには尺骨側の破綻が必要です。実際、橈骨頭脱臼の大半は尺骨骨幹部骨折を伴うモンテギア脱臼骨折として発生します。
✗ 1. 誤り
後方に脱臼することが多い。
最も多いのは前方(掌側)脱臼を示す伸展型です。橈骨頭が後方へ出る屈曲型は少数にとどまります。
✗ 2. 誤り
前腕回外強制で発生する。
発生機転は回内強制です。前腕回内位で手をついたところへ体重が乗り、さらに回内が加わって尺骨が折れ、橈骨頭が前方へ抜けます。
✗ 4. 誤り
前骨間神経損傷を合併する。
合併しやすいのは後骨間神経麻痺です。前方に出た橈骨頭が、橈骨頸部を巻くように走る後骨間神経を圧迫するためで、下垂指がみられます。前骨間神経麻痺は上腕骨顆上骨折など正中神経本幹の走行に沿った外傷で問題になります。
ポイント
  • 橈骨頭脱臼を見たら、必ず尺骨骨幹部を確認する。前腕は骨間膜を含む一つの「輪」。
  • 最多は伸展型=橈骨頭が前方へ+尺骨骨幹部が前方凸に骨折。機転は前腕回内強制。
  • 合併しやすい神経障害は後骨間神経麻痺(下垂指、感覚障害なし)。前骨間神経麻痺ではない。
  • 小児の肘内障(橈骨頭亜脱臼)は牽引で輪状靱帯がずれるもので、骨折を伴わない別物。
  • 尺骨骨折を見落とすと橈骨頭が整復位に保てず、前腕の回内外制限が残る。初検で肘・前腕全体の画像評価を医師に依頼する。
比較表
型(Bado分類)橈骨頭の脱臼方向尺骨の骨折特徴
Ⅰ型(伸展型)前方骨幹部・前方凸最も多い。回内強制で発生
Ⅱ型(屈曲型)後方骨幹部・後方凸成人に少数みられる
Ⅲ型(内転型)外側〜前外側近位(鉤状突起付近)小児に多い
Ⅳ型前方尺骨+橈骨骨幹部両骨骨折を伴う
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