学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ27P076

理由で解く 柔道整復師

QJ27P076 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問76
問題
上腕骨解剖頸骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 小児に好発する。
2 骨折部の変形が著明である。
3 肩関節内転位で固定する。
4 阻血性骨壊死の危険性がある。
解答
正解4(阻血性骨壊死の危険性がある。)
解説

解剖頸は関節包の内側にあり、骨頭へ向かう血管の走行より近位で折れる。そのため上腕骨頭の阻血性骨壊死が最大の問題になる。

上腕骨頭の血行は主に前上腕回旋動脈の枝が結節間溝を上行して骨頭へ入る経路に頼っている。解剖頸骨折はこの血行路より中枢で骨頭が切り離される形になり、阻血性骨壊死の危険が生じる。加えて骨折部が関節包内にあることも治癒を妨げる。関節包内では骨の表面が関節軟骨と滑膜に覆われて骨膜が存在しないため、骨膜性(外骨膜性)仮骨がそもそも形成されず、内骨膜性仮骨だけに頼った治癒となる。さらに関節液が血腫の形成・器質化を妨げるため、遅延癒合・偽関節・上腕骨頭壊死が起こりうる。発生自体はまれで高齢者に多く、多くは骨頭に嵌入するため外見上の変形が乏しい。腫脹と肩の運動時痛が主体で、外科頸骨折や肩関節脱臼と紛らわしいので、鑑別には画像が必要になる。関節包内骨折は治療が難しく手術が選ばれることもあるため、疑った時点で三角巾などで上肢を安静に保ち、医師の診断につなぐ。

✓ 4. 正しい
阻血性骨壊死の危険性がある。
骨頭を養う血管の走行より中枢で折れ、しかも関節包内骨折であるため、骨頭壊死・偽関節を生じうる。
✗ 1. 誤り
小児に好発する。
発生はまれで、生じるとすれば骨がもろくなった高齢者。小児では骨端線が力学的な弱点となるため、同じ外力でも上腕骨近位骨端線離開の形をとる。
✗ 2. 誤り
骨折部の変形が著明である。
関節包内で骨片が嵌入することが多く、外形上の変形は乏しい。腫脹と運動時痛が中心で、見た目だけでは判断できない。
✗ 3. 誤り
肩関節内転位で固定する。
骨頭と骨幹の位置関係を保つため、一般には肩関節を軽度外転位に保って固定する。内転位を原則とするわけではない。
ポイント
  • 解剖頸骨折は関節包内骨折。骨膜がないため骨膜性仮骨ができず、癒合しづらい。
  • 関節液が血腫の形成・器質化を妨げることも癒合を不利にする。
  • 骨頭への血行が断たれ、阻血性骨壊死・偽関節の危険がある。
  • まれな骨折で高齢者に多い。小児では骨端線離開となる。
  • 嵌入することが多く外見の変形は乏しい。画像で外科頸骨折・脱臼と鑑別する。
  • 固定は肩関節軽度外転位。上肢を安静に保ち医師の診断へつなぐ。
比較表
解剖頸骨折外科頸骨折
関節包との関係関節包内関節包外
頻度まれ多い(高齢者の転倒)
変形乏しい(嵌入が多い)転位型では変形が明らか
主な合併症骨頭壊死・偽関節腋窩神経損傷・肩関節拘縮
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