学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ27P077

理由で解く 柔道整復師

QJ27P077 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問77
問題
上腕骨顆上伸展型骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 顆上部に強力な後方凸の屈曲力が働き発生する。
2 肘関節部に高度な腫脹を認める。
3 肘関節前方脱臼との鑑別が必要である。
4 偽関節を生じやすい。
解答
正解2(肘関節部に高度な腫脹を認める。)
解説

上腕骨顆上骨折の伸展型では、血流の豊富な関節近傍で出血・浮腫が急速に進むため、肘関節部に高度な腫脹をきたす。残る3つは屈曲型の機序や、この骨折では起こりにくい事柄を述べている。

伸展型は肘関節伸展位で手をつき、肘に過伸展が強制されて顆上部に前方凸の屈曲力が働いて発生する。骨折線は前下方から後上方へ走り、遠位骨片は後方(および上方)へ転位する。前方に残る近位骨片の鋭端が上腕動脈や正中神経を圧迫・損傷しやすく、これに高度な腫脹が加わるとコンパートメント内圧が上がり、フォルクマン拘縮という重大な後遺症につながる。したがって橈骨動脈の拍動、手指の色調・感覚・自動運動、安静時痛の増強(とくに他動伸展での強い痛み)を繰り返し確認し、異常があれば固定を緩めたうえで直ちに医師へ引き継ぐ。小児に多く骨癒合そのものは良好だが、内反肘などの変形治癒を残さないよう整復位の保持が重要となる。

✓ 2. 正しい
肘関節部に高度な腫脹を認める。
骨折部が血流の豊富な関節近傍にあり、出血と浮腫が短時間で進むため肘全体が著明に腫れる。腫脹の増強は循環障害のサインでもあるので、経時的な観察が欠かせない。
✗ 1. 誤り
顆上部に強力な後方凸の屈曲力が働き発生する。
伸展型に働くのは前方凸の屈曲力である。後方凸の屈曲力が働くのは、肘関節屈曲位で肘頭部を衝いて生じる屈曲型の機序で、こちらは遠位骨片が前方へ転位する。
✗ 3. 誤り
肘関節前方脱臼との鑑別が必要である。
遠位骨片が後方へ転位して肘頭部が後方に突出するため、外観が似るのは肘関節後方脱臼である。肘頭と内・外側上顆がつくる三角(ヒューター三角)の乱れの有無、弾発性固定の有無、異常可動性や軋轢音などで鑑別する。
✗ 4. 誤り
偽関節を生じやすい。
小児に多く血行が良好なため骨癒合は得られやすく、偽関節はまれである。この骨折で警戒すべきは循環障害・神経損傷と、内反肘に代表される変形治癒である。
ポイント
  • 伸展型=肘過伸展強制、顆上部に前方凸の屈曲力、遠位骨片は後方転位。屈曲型はその逆。
  • 関節近傍の骨折で出血が多く、肘部に高度な腫脹をきたす。
  • 外観が似るのは肘関節後方脱臼。ヒューター三角と弾発性固定で鑑別する。
  • 上腕動脈・正中神経損傷とフォルクマン拘縮に注意し、拍動・感覚・自動運動を繰り返し確認する。
  • 骨癒合は良好で偽関節はまれ。問題になるのは内反肘などの変形治癒。
比較表
項目伸展型屈曲型
受傷肢位肘伸展位で手をつく肘屈曲位で肘頭部を衝く
顆上部に働く力前方凸の屈曲力後方凸の屈曲力
遠位骨片の転位後方(+上方)前方(+上方)
骨折線前下方から後上方へ後下方から前上方へ
鑑別すべき脱臼肘関節後方脱臼肘関節前方脱臼
頻度大多数まれ
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