学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 整形外科学 ▸ §25 臨床実地問題 / QJ27P064
理由で解く 柔道整復師
30歳という若年発症、6か月以上続く腰痛、そして動くと軽くなるという経過は、機械的な腰痛ではなく炎症性腰背部痛の型である。腰椎の後屈制限を伴う点も合わせて強直性脊椎炎を考え、みられる所見は腱付着部炎。正答は1。
強直性脊椎炎は仙腸関節から始まって体軸関節に炎症が及ぶ脊椎関節炎で、若年男性に多くHLA-B27との関連が強い。病態の中心は腱・靱帯・関節包が骨に付着する部位に起こる炎症、すなわち腱付着部炎(enthesitis)である。炎症が起きた付着部は修復の過程で骨化し、椎体の辺縁に靱帯骨棘(syndesmophyte)を形成する。これが上下の椎体を橋渡しするように連なると脊柱の可動性が失われ、進行例では竹の節のような竹様脊柱となる。本症例の腰椎後屈制限は、この可動域低下の初期像として説明できる。臨床的には安静で悪化して動き出すと楽になること、夜間から明け方に痛みが強いこと、朝のこわばりが30分以上続くことが特徴で、休むと軽くなる機械的腰痛とちょうど逆になる。ここで注意したいのは、鑑別の決め手は年齢そのものではなく「持続期間」と「安静・運動との関係」の組合せだという点である。機械的腰痛の側にも腰椎椎間板ヘルニアのように20〜40歳代を好発年齢とする疾患があり、若いからといって機械的腰痛を除外できるわけではない。本症例で炎症性と判断できるのは、6か月という持続に加えて運動で軽減するという向きがそろっているからである。長く「ただの腰痛」として扱われて診断が遅れやすい疾患なので、この型の腰痛に気づいたら徒手療法だけで完結させず、リウマチ科など専門医の評価につなぎ、並行して姿勢保持と脊柱・胸郭の可動域を保つ運動を続けることが大切である。
| 炎症性腰背部痛(強直性脊椎炎など) | 機械的腰痛(椎間板性・脊柱管狭窄など) | |
|---|---|---|
| 発症年齢 | 40歳未満の発症が多い | 椎間板性は20〜40歳代、脊柱管狭窄症は中高年と幅がある(年齢だけでは鑑別できない) |
| 経過 | 3か月以上かけて緩やかに持続 | 動作を契機に急性発症することが多い |
| 安静 | 安静で悪化する | 安静で軽減する |
| 運動 | 動き出すと軽減する | 動くと悪化する(狭窄症では歩行で増悪し、前屈・座位での休息で軽快=間欠性跛行) |
| 朝のこわばり | 30分以上続く | あっても短時間 |
| 随伴所見 | 仙腸関節炎、付着部炎(踵の痛み)、ぶどう膜炎、炎症性腸疾患 | 下肢の神経根症状、間欠性跛行 |
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