学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §9 疾患別各論 骨および軟部腫瘍 / QJ27P063

理由で解く 柔道整復師

QJ27P063 整形外科学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問63
問題
化学療法に感受性の低い悪性骨腫瘍はどれか。
選択肢
1 悪性リンパ腫
2 骨肉腫
3 軟骨肉腫
4 ユーイング(Ewing)肉腫
解答
正解3(軟骨肉腫)
解説

骨の悪性腫瘍のうち、軟骨肉腫は一般に化学療法にも放射線療法にも反応しにくいとされ、計画的な広範切除が治療の柱になる。

抗癌薬は分裂している細胞を狙って効くため、増殖の速い腫瘍ほど感受性が高いという原則がある。骨肉腫とユーイング肉腫は増殖が速く血流も豊富で、術前化学療法→広範切除→術後化学療法という流れが確立し、かつて不良だった生存率が大きく改善した。ユーイング肉腫は放射線感受性も高いことで知られる。悪性リンパ腫は骨に原発する場合を含めて全身性の疾患としてとらえられ、化学療法と放射線療法が治療の中心で、手術は診断のための生検にとどまることが多い。これに対し軟骨肉腫は、分化した軟骨基質に囲まれて増殖が緩やかで血流にも乏しいため薬剤が到達しにくく、細胞回転が遅いことも加わって化学療法・放射線療法の効果は限定的とされる。したがって腫瘍を正常組織で包んだまま一塊に切除する広範切除が基本となり、切除縁の確保が予後を左右する(脱分化型など一部の亜型では化学療法が検討される場合もある)。

✓ 3. 正しい
軟骨肉腫
軟骨基質に富み、増殖が緩やかで血流に乏しいという性質から、薬剤の到達も細胞回転の抑制も効きにくく、化学療法・放射線療法の感受性は一般に低いとされる。そのため治療は外科的切除が中心で、十分な切除縁を確保した広範切除が求められる。中高年の骨盤・大腿骨近位部などに好発し、緩やかに増大する点も骨肉腫との違いとして押さえる。
✗ 1. 誤り
悪性リンパ腫
リンパ系腫瘍は化学療法感受性が高い代表格で、放射線療法も併用される。骨に病変を認めても全身性疾患として扱われ、手術の役割は主として生検による診断確定にとどまる。「病変が骨にあること」と「治療の主役が手術であること」は同義ではない、という点に注意する。
✗ 2. 誤り
骨肉腫
10歳代の膝周囲(大腿骨遠位・脛骨近位)に好発する代表的な原発性悪性骨腫瘍で、増殖が速い分だけ化学療法がよく効く。術前化学療法で腫瘍を縮小させてから広範切除を行い、切除標本の壊死率で効果を判定して術後化学療法につなぐ流れが標準となり、患肢温存と生存率の向上が実現した。放射線感受性は高くない。
✗ 4. 誤り
ユーイング(Ewing)肉腫
小円形細胞からなる腫瘍で増殖が速く、化学療法と放射線療法のいずれにも高い感受性を示す。骨幹部に好発し、発熱や炎症反応の上昇を伴って骨髄炎と紛らわしいことがある。化学療法を軸に、局所は手術または放射線で制御する方針がとられる。
ポイント
  • 抗癌薬は分裂中の細胞に効く。増殖が速い腫瘍ほど化学療法感受性が高い、が基本軸。
  • 骨肉腫・ユーイング肉腫は化学療法感受性が高く、術前後化学療法で予後が大きく改善した。
  • ユーイング肉腫は放射線感受性も高い。悪性リンパ腫は化学療法+放射線が主体で手術は生検中心。
  • 軟骨肉腫は軟骨基質に富み増殖が緩やかで血流に乏しく、化学療法・放射線ともに効きにくい。
  • そのため軟骨肉腫の治療は切除縁を確保した広範切除が柱になる。
比較表
腫瘍化学療法感受性放射線感受性治療の柱
悪性リンパ腫高い高い化学療法(±放射線)。手術は生検
骨肉腫高い低い術前後化学療法+広範切除
ユーイング肉腫高い高い化学療法+局所制御(手術または放射線)
軟骨肉腫低い低い広範切除(切除縁の確保)
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