学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §8 疾患別各論 感染性疾患 / QJ27P059

理由で解く 柔道整復師

QJ27P059 整形外科学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問59
問題
化膿性関節炎で誤っているのはどれか。
選択肢
1 起炎菌は黄色ブドウ球菌が多い。
2 治療の第一選択は保存療法である。
3 小児では血行感染が多い。
4 糖尿病は発症の危険因子となる。
解答
正解2(治療の第一選択は保存療法である。)
解説

化膿性関節炎は時間との勝負で、関節軟骨は数日で不可逆的に壊れる。関節穿刺で診断したら早期の切開・洗浄ドレナージと抗菌薬全身投与が原則であり、保存療法が第一選択とはならないため、これが答え。

関節内に細菌が侵入すると、菌体成分と集まった好中球から放出されるプロテアーゼやサイトカインが関節軟骨のプロテオグリカンとⅡ型コラーゲンを分解する。関節液は膿性・混濁となって白血球数が著しく増え、関節包内圧の上昇は骨頭への血行も妨げる。乳幼児の股関節では炎症が骨端に及び、成長障害や病的脱臼といった重い後遺症を残すことがある。診断の要は関節穿刺で、関節液の外観・細胞数・グラム染色・培養を確認する。治療は関節切開または関節鏡下の洗浄・ドレナージによって菌と分解酵素を関節腔から物理的に排出し、起炎菌に応じた抗菌薬を全身投与するのが基本で、急性期を過ぎたら拘縮を防ぐ関節可動域訓練へつなぐ。安静・固定と抗菌薬だけで経過をみると、その間に軟骨が失われる。急激な関節の腫脹・熱感・激しい運動時痛と発熱をみたら、施術を続けず速やかに整形外科へ紹介することが最善の対応となる。

✓ 2. これが答え(記述が誤り)
治療の第一選択は保存療法である。
関節軟骨は血管を持たず再生能に乏しいため、いったん酵素で分解されると元に戻らない。したがって「様子をみる」時間そのものが損失になり、早期の関節切開・関節鏡下洗浄ドレナージと抗菌薬全身投与を組み合わせるのが原則である。疑った時点で関節穿刺による確認を急ぎ、専門医へつなぐという流れで覚える。
✗ 1. 記述は正しい(答えではない)
起炎菌は黄色ブドウ球菌が多い。
黄色ブドウ球菌は全年齢を通じて最も多い起炎菌で、皮膚や鼻腔の常在菌が血行性あるいは創部から関節に達する。年齢や背景によっては連鎖球菌、乳児のB群溶血性連鎖球菌や大腸菌、性的活動期の若年成人における淋菌なども原因となる。培養結果が出るまでは頻度の高い菌をカバーする薬剤を選び、判明後に絞り込む。
✗ 3. 記述は正しい(答えではない)
小児では血行感染が多い。
小児の骨幹端は血流が緩やかで細菌がとどまりやすく、急性血行性骨髄炎を起こしやすい。股関節や肩関節のように骨幹端が関節包内にある部位では、そこから関節腔へ穿破して化膿性関節炎に至る。乳幼児が患肢を動かさない(偽性麻痺)、おむつ交換で泣くといったサインは股関節の感染を疑う手がかりになる。
✗ 4. 記述は正しい(答えではない)
糖尿病は発症の危険因子となる。
高血糖では好中球の遊走能・貪食能が落ち、末梢循環障害も加わって感染が成立しやすく、悪化も速い。同様に関節リウマチ、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬の使用、人工関節、関節内注射後、透析、悪性腫瘍なども危険因子となる。こうした背景を持つ人の関節症状は、通常より低いしきい値で感染を疑って対応する。
ポイント
  • 起炎菌は黄色ブドウ球菌が最多。若年成人の淋菌、乳児のB群溶連菌・大腸菌も押さえる。
  • 小児は骨幹端の血管構造から血行性感染が多く、骨幹端が関節包内にある股・肩では関節内へ穿破する。
  • 診断の要は関節穿刺(外観・細胞数・グラム染色・培養)。
  • 治療は関節切開/関節鏡下の洗浄ドレナージ+抗菌薬全身投与。保存療法が第一選択にはならない。
  • 危険因子は糖尿病、関節リウマチ、ステロイド・免疫抑制薬、人工関節、関節内注射後など。
  • 急激な単関節の腫脹・熱感・激痛+発熱は施術対象とせず、速やかに整形外科へ紹介する。
比較表
疾患経過・関節液の性状手がかり初期対応
化膿性関節炎急性、膿性・混濁、白血球著増発熱、激しい運動時痛、全可動域制限穿刺で確認し、切開洗浄+抗菌薬(緊急)
結晶性関節炎(痛風・偽痛風)急性、混濁するが結晶を認める母趾MTP(痛風)、膝の軟骨石灰化(偽痛風)抗炎症治療。感染の否定が先
関節リウマチの増悪亜急性、多関節・対称性朝のこわばり、他関節にも所見疾患活動性の評価と抗リウマチ治療
外傷性関節血症受傷直後に急速に腫脹、血性明らかな外傷歴受傷機転に応じた画像評価と固定
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。