学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §8 疾患別各論 感染性疾患 / QJ29P063

理由で解く 柔道整復師

QJ29P063 整形外科学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問63
問題
化膿性関節炎で正しいのはどれか。
選択肢
1 起炎菌は連鎖球菌が多い。
2 小児では血行感染が多い。
3 安静時に疼痛はない。
4 関節穿刺は禁忌である。
解答
正解2(小児では血行感染が多い。)
解説

小児では血行感染が多いという2が正しい記述です。化膿性関節炎は関節軟骨が短期間で壊れるため、疑った時点で急いで医療機関へつなぐ疾患です。

細菌が関節内に達する経路には、穿刺・外傷・手術による直達感染、隣接する骨髄炎からの波及、そして血流に乗って運ばれる血行感染があります。小児では骨幹端の血管が終末的なループを作って血流が緩やかになるため細菌が定着しやすく、上気道炎や皮膚感染に伴う菌血症から血行性に関節炎を起こすことが多くなります。とくに乳幼児の股関節は骨幹端が関節包の内側にあるため、骨髄炎がそのまま関節炎へ広がります。起炎菌は黄色ブドウ球菌が最も多く、発赤・熱感・腫脹に加えて安静時にも続く強い痛み、自動・他動ともに著しい可動域制限、発熱と炎症反応の上昇がみられます。診断と治療の要は関節穿刺で、関節液の外観・細胞数・グラム染色・培養で確定し、そのまま洗浄・ドレナージにつなげます。抗菌薬の全身投与を併用し、軟骨破壊が進む前に処置することが予後を左右します。柔道整復師としては、施術を続けるのではなく速やかに整形外科へ紹介する判断が最も重要です。

✓ 2. 正しい
小児では血行感染が多い。
小児の骨幹端は血管がループ状に終わり血流が緩やかなため細菌が定着しやすく、菌血症から関節へ広がります。乳幼児の股関節では骨幹端が関節内にあるため、骨髄炎から関節炎へ移行しやすい点も重要です。
✗ 1. 誤り
起炎菌は連鎖球菌が多い。
最も多いのは黄色ブドウ球菌です。連鎖球菌のほか、新生児ではB群連鎖球菌やグラム陰性桿菌、性活動期には淋菌が原因となることもありますが、頻度で「多い」といえるのはブドウ球菌です。
✗ 3. 誤り
安静時に疼痛はない。
安静にしていてもズキズキとした自発痛が続き、夜間も痛みます。動かしたときだけ痛むのは機械的な障害の特徴で、安静時痛は炎症性・感染性を疑うサインです。
✗ 4. 誤り
関節穿刺は禁忌である。
むしろ最優先で行うべき手技です。関節液を採取して細胞数・グラム染色・培養を行うことが診断の決め手であり、同時に膿を排出して洗浄することが治療そのものになります。清潔操作のもとで速やかに実施します。
ポイント
  • 感染経路は直達・隣接骨髄炎からの波及・血行性。小児は血行感染が多い。
  • 起炎菌は黄色ブドウ球菌が最多。
  • 安静時痛・夜間痛+発赤・熱感・腫脹+発熱は感染を疑う組合せ。
  • 関節穿刺は禁忌どころか診断・治療の中心。培養検体を採り、洗浄・ドレナージと抗菌薬へ。
  • 軟骨は数日で破壊されるため時間が勝負。疑ったら施術を続けず整形外科へ紹介する。
比較表
比べる点化膿性関節炎結核性関節炎変形性関節症
経過急性(数日で悪化)慢性(数か月かけて進行)年単位でゆっくり
疼痛の性質安静時にも激痛、夜間痛鈍い持続痛動作開始時・荷重時の痛み
全身症状発熱、炎症反応の著明な上昇微熱、体重減少なし
初期対応緊急。穿刺・培養→洗浄と抗菌薬専門医で抗結核薬運動療法・装具など保存療法
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