学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §20 部位別各論 手・手指 / QJ29P064

理由で解く 柔道整復師

QJ29P064 整形外科学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問64
問題
骨折と受傷機転の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 骨性槌指-DIP 関節屈曲位強制
2 舟状骨骨折-手関節背屈位強制
3 スミス (Smith)骨折-手関節掌屈位強制
4 ベネット (Bennett)骨折-母指 MP 関節背屈位強制
解答
正解4(ベネット (Bennett)骨折-母指 MP 関節背屈位強制)
解説

この設問は「誤っている組合せ」を選ぶ問題です。答えは4で、ベネット骨折は母指MP関節の背屈強制ではなく、母指の長軸方向への軸圧によってCM関節(第1中手骨基部)に起こります。

手のけがは「どの関節が、どの向きに強制されたか」で骨折型がほぼ決まります。ベネット骨折は、母指を軽く屈曲・内転した位置で第1中手骨の長軸方向に軸圧が加わったときに生じる、第1中手骨基部の関節内骨折(脱臼骨折)です。掌尺側の小さな骨片は前斜走靱帯によって大菱形骨側に留まり、中手骨本体は長母指外転筋に引かれて橈背側・近位へ転位するため、整復はできても保持が難しく、経皮ピンニングなどの手術が選ばれることが少なくありません。なお母指MP関節を背屈(過伸展)方向に強制したときに起こるのは、同関節の背側脱臼です。他の3つは受傷肢位と骨折型が正しく対応した典型的な組合せです。

✓ 4. これが誤っている組合せ(=答え)
ベネット (Bennett)骨折-母指 MP 関節背屈位強制
ベネット骨折で壊れるのはMP関節ではなくCM関節、すなわち第1中手骨の基部です。ボクシングでの殴打やスキーで母指を突く転倒など、母指の長軸方向に軸圧が加わって生じます。骨片が靱帯で残り本体だけがずれるため転位が再発しやすく、確実な固定または手術を要します。
✗ 1. 正しい組合せ(=答えではない)
骨性槌指-DIP 関節屈曲位強制
指先にボールが当たるなどして、伸展位のDIP関節に急な屈曲力が加わると、終止腱が末節骨背側基部を引きはがして裂離骨折となります。受傷機転として正しい組合せです。
✗ 2. 正しい組合せ(=答えではない)
舟状骨骨折-手関節背屈位強制
転倒して手をつき、手関節が背屈・橈屈を強制されると舟状骨腰部に剪断力が集中して折れます。受傷直後のエックス線で写らないことがあるため、解剖学的嗅ぎたばこ入れに圧痛があれば骨折として固定し、日を改めて再検査します。
✗ 3. 正しい組合せ(=答えではない)
スミス (Smith)骨折-手関節掌屈位強制
手関節掌屈位で手をついたり手背を打ったりして、橈骨遠位端の遠位骨片が掌側へ転位したものです。背屈位強制で遠位骨片が背側へ転位するコーレス骨折と対になる関係で、正しい組合せです。
ポイント
  • ベネット骨折=母指CM関節(第1中手骨基部)の関節内骨折。機転は母指長軸方向への軸圧。
  • 掌尺側の小骨片は靱帯で残り、本体は長母指外転筋に引かれて橈背側・近位へ転位する。だから保持が難しい。
  • 手関節背屈強制→コーレス骨折・舟状骨骨折、掌屈強制→スミス骨折、と方向で整理する。
  • 骨性槌指はDIPへの屈曲強制で終止腱付着部が裂離。伸展位固定が基本。
  • 舟状骨骨折は初期エックス線で見逃されやすい。嗅ぎたばこ入れの圧痛があれば固定して再評価する。
比較表
骨折強制された肢位・力折れる場所転位の方向
骨性槌指DIP関節の屈曲強制末節骨背側基部(終止腱付着部)末節骨が屈曲位に落ちる
舟状骨骨折手関節の背屈+橈屈強制舟状骨腰部転位少なく初期は写りにくい
コーレス骨折手関節の背屈強制橈骨遠位端遠位骨片が背側(フォーク状変形)
スミス骨折手関節の掌屈強制橈骨遠位端遠位骨片が掌側
ベネット骨折母指の長軸方向への軸圧(CM関節)第1中手骨基部(関節内)本体が橈背側・近位へ
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