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理由で解く 柔道整復師

QJ27P050 外科学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問50
問題
脳死と臓器移植で誤っているのはどれか。
選択肢
1 急性拒絶反応の時期は移植後2~3か月以内である。
2 心臓移植後の生存率は3年生存率70~80%である。
3 脳死とは脳幹を含む全脳髄の可逆的な機能喪失の状態である。
4 改正臓器移植法では家族の同意を得れば脳死下の臓器摘出が可能である。
解答
正解3(脳死とは脳幹を含む全脳髄の可逆的な機能喪失の状態である。)
解説

脳死は脳幹を含む全脳の「不可逆的」な機能喪失をいう。可逆的としている選択肢3が誤り。

脳死とは、大脳から脳幹に至るまで脳全体の機能が失われ、二度と回復しない状態を指す。呼吸中枢のある脳幹が働かないので自発呼吸が止まり、人工呼吸器がなければ心臓もほどなく止まる。この点で、脳幹が保たれていて自発呼吸も睡眠覚醒リズムもある遷延性意識障害(いわゆる植物状態)とははっきり違う。日本の法的脳死判定では、深昏睡、瞳孔散大・固定、脳幹反射の消失、平坦脳波、無呼吸テストによる自発呼吸の消失を確認し、6時間以上あけて2回行う。二度確かめるという手順そのものが、「回復の余地がないこと」を担保するために置かれている。

✓ 3. 誤り(これが答え)
脳死とは脳幹を含む全脳髄の可逆的な機能喪失の状態である。
「可逆的」を「不可逆的」に置き換えれば正しい文になる。回復の余地がないことこそ脳死の定義の核心であり、もし可逆的なら深昏睡や植物状態と区別がつかず、臓器提供の前提も成り立たない。だからこそ判定は厳格な項目と2回の実施で組み立てられている。
✗ 1. 正しい(答えではない)
急性拒絶反応の時期は移植後2~3か月以内である。
拒絶反応は起こる時期で3つに整理する。超急性拒絶は移植直後の数分〜数時間で、レシピエントがもともと持っていた抗体による。急性拒絶はおおむね数日〜3か月以内に多く、T細胞性の反応が主体で、免疫抑制薬を強化すれば治療しうる。慢性拒絶は数か月〜数年かけて血管内膜の肥厚と線維化が進む。
✗ 2. 正しい(答えではない)
心臓移植後の生存率は3年生存率70~80%である。
出題時点(第27回・2019年)の教科書的な数値として、国際登録に基づく心臓移植後の3年生存率はおよそ7〜8割とされている。免疫抑制薬の進歩により長期成績は改善しており、国内の成績はこれより良好と報告されている。最新の統計値は変動するため、数値そのものより「急性拒絶は3か月以内」「長期成績は改善傾向」という枠組みで押さえる。
✗ 4. 正しい(答えではない)
改正臓器移植法では家族の同意を得れば脳死下の臓器摘出が可能である。
2010年7月に全面施行された改正臓器移植法により、本人の提供意思が書面で示されていなくても、本人が拒否の意思を表示していなければ家族の承諾で脳死下の臓器提供ができるようになった。あわせて15歳未満からの提供が可能となり、親族への優先提供の意思表示も認められた。
ポイント
  • 脳死=脳幹を含む全脳の不可逆的な機能喪失。自発呼吸がなく、人工呼吸器なしでは心停止に至る。
  • 遷延性意識障害(植物状態)は脳幹が保たれ、自発呼吸も脳幹反射もある。回復の可能性が残る点で脳死と決定的に違う。
  • 法的脳死判定は深昏睡・瞳孔散大固定・脳幹反射消失・平坦脳波・自発呼吸消失を、6時間以上あけて2回確認する。
  • 拒絶反応は超急性(数分〜数時間)・急性(数日〜3か月)・慢性(数か月〜数年)の3型。
  • 2010年7月全面施行の改正臓器移植法で、本人意思が不明でも家族の承諾で提供が可能となり、15歳未満からの提供も認められた。
比較表
脳死遷延性意識障害(植物状態)
障害部位脳幹を含む全脳主に大脳(脳幹は保たれる)
自発呼吸なしあり
脳幹反射すべて消失保たれる
脳波平坦活動がみられる
回復不可逆(回復しない)回復の可能性が残る
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