学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §1 損傷 / QJ27P049

理由で解く 柔道整復師

QJ27P049 外科学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問49
問題
縫合で誤っているのはどれか。
選択肢
1 汚染創では一次縫合を行う。
2 神経縫合では神経鞘を縫合する。
3 感染創ではデブリドマンを行う。
4 消化管縫合では自動吻合器が使用される。
解答
正解1(汚染創では一次縫合を行う。)
解説

汚染創をその場で縫い閉じると、閉じ込めた細菌が閉鎖腔で増えて感染する。洗浄とデブリドマンを行い、開放のまま経過をみるのが原則で、選択肢1が誤り。

創の縫合は「いつ閉じるか」で一次縫合・遅延一次縫合・二次縫合に分かれる。清潔で受傷から時間の経っていない創(目安として受傷後6〜8時間以内)は、洗浄したうえでそのまま縫い合わせる一次縫合でよい。これに対し、土砂や異物が入った創、受傷から時間が経った創、動物咬傷やヒトの咬傷などは、洗浄と壊死組織・異物の切除(デブリドマン)を十分に行ったうえで開放創とし、数日後に感染がないことを確かめてから閉じる(遅延一次縫合)か、肉芽が埋めるのを待つ(二次治癒)。「閉じるのは、閉じても安全だと確かめてから」と覚えると判断がぶれない。

✓ 1. 誤り(これが答え)
汚染創では一次縫合を行う。
汚染創を密閉すると、排液の逃げ場がない酸素の乏しい閉鎖腔ができ、細菌にとって理想的な培地になる。感染、膿瘍形成、さらには嫌気性菌によるガス壊疽や破傷風の危険が高まる。取るべき対応は、大量の生理食塩水による十分な洗浄、異物と壊死組織のデブリドマン、開放創のままドレナージを確保すること。あわせて破傷風予防(トキソイド・免疫グロブリン)の要否を確認し、感染徴候がないことを見届けてから遅延一次縫合に進む。
✗ 2. 正しい(答えではない)
神経縫合では神経鞘を縫合する。
切れた軸索そのものを一本ずつ縫うことはできない。神経上膜(神経鞘)どうし、あるいは神経周膜で神経束の向きをそろえて縫い合わせ、中枢側から再生してくる軸索が末梢へ伸びる道筋をつくる。再生の速度はおおよそ1日1mm程度で、回復には長い時間がかかる。
✗ 3. 正しい(答えではない)
感染創ではデブリドマンを行う。
壊死組織や異物は抗菌薬も血流も届かず、細菌の温床になる。これを切除して健常な組織を露出させることが、感染創を治すための出発点になる。
✗ 4. 正しい(答えではない)
消化管縫合では自動吻合器が使用される。
ステープラーによる器械吻合は、消化管の切離・吻合で標準的に用いられている。手縫いに比べて短時間で均一な吻合ができ、深くて手の届きにくい部位(直腸など)でも確実に縫合できる利点がある。
ポイント
  • 一次縫合は「清潔で受傷後間もない創」に限る。目安は受傷後6〜8時間以内。
  • 汚染創は洗浄とデブリドマンを行って開放創とし、感染がないことを確認してから遅延一次縫合へ進む。
  • 汚染創を閉じると閉鎖腔ができ、嫌気性環境で感染・膿瘍・ガス壊疽の危険が高まる。
  • 汚染創では破傷風予防の要否を必ず確認する。
  • 神経縫合は軸索ではなく神経上膜(神経鞘)を合わせて縫う。再生はおよそ1日1mm。
比較表
縫合の時期対象となる創手順の考え方
一次縫合清潔で受傷後間もない創(6〜8時間以内が目安)洗浄後ただちに閉じる
遅延一次縫合汚染創、受傷から時間の経った創、咬傷洗浄・デブリドマン後に開放。数日後、感染がなければ閉じる
二次縫合/二次治癒感染創、組織欠損の大きい創肉芽形成を待ち、必要に応じて後から閉じる・植皮する
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