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理由で解く 柔道整復師

QJ27P031 一般臨床医学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問31
問題
誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 髄膜炎-項部硬直
2 小脳疾患-筋トーヌスの低下
3 膝関節液貯留-膝蓋骨跳動
4 筋萎縮性側索硬化症-筋の仮性肥大
解答
正解4(筋萎縮性側索硬化症-筋の仮性肥大)
解説

この問題は「誤っている組合せ」を選ぶ設問です。筋の仮性肥大はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの所見であり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)では文字どおり筋が細くなる真の筋萎縮が起こります。したがって組合せとして成り立たないのは4です。

ALSは上位運動ニューロンと下位運動ニューロンがともに変性する疾患です。下位運動ニューロンが脱落すると支配下の筋線維が神経支配を失い、母指球や第1背側骨間筋など手内在筋から始まる神経原性の筋萎縮と線維束性収縮(ぴくつき)が現れます。上位運動ニューロン障害により腱反射は亢進し、病的反射も出現します。一方、仮性肥大は変性・壊死した筋線維が脂肪組織や結合組織に置き換わることで見かけ上は太いのに筋力は弱いという状態で、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの下腿三頭筋が代表です。「太く見える=仮性肥大=筋原性」「細くなる+ぴくつき=真の萎縮=神経原性」と対にして押さえると、この種の組合せ問題を確実に切り分けられます。

✓ 4. これが「誤っている組合せ」=正解
筋萎縮性側索硬化症-筋の仮性肥大
ALSでみられるのは仮性肥大ではなく、下位運動ニューロン障害による神経原性の真の筋萎縮と線維束性収縮です。仮性肥大はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの下腿三頭筋に典型的な筋原性の所見であり、両者は結びつきません。手内在筋の萎縮や巧緻運動障害が徐々に進行し、腱反射亢進や構音・嚥下障害を伴う場合は、脳神経内科への受診を勧め、転倒・誤嚥への配慮を行います。
✗ 1. 組合せは正しい(答えではない)
髄膜炎-項部硬直
炎症により髄膜が刺激されると、頸部を他動的に前屈させたときに抵抗と疼痛が生じます(項部硬直)。ケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候とともに髄膜刺激症状の代表で、髄膜炎やくも膜下出血でみられます。組合せとして妥当なので、この設問の答えにはなりません。発熱・頭痛・嘔吐に項部硬直を伴う場合は、頸部への手技を行わず直ちに医療機関へつなぎます。
✗ 2. 組合せは正しい(答えではない)
小脳疾患-筋トーヌスの低下
小脳は筋紡錘からの情報をもとにγ運動系を介して筋緊張を保っています。小脳が障害されるとこの調節が失われ、筋トーヌスの低下、振子様の膝蓋腱反射、運動失調、企図振戦、測定障害、反復拮抗運動不能などが出現します。筋トーヌスが亢進するのは錐体路障害(痙縮)や錐体外路障害(固縮)で、向きが逆である点も併せて整理しておきます。組合せとして妥当なので、この設問の答えにはなりません。
✗ 3. 組合せは正しい(答えではない)
膝関節液貯留-膝蓋骨跳動
関節液が膝蓋上嚢に貯留すると膝蓋骨が浮き上がり、膝を伸展させた状態で膝蓋上嚢を押さえながら膝蓋骨を押すと、大腿骨に当たって跳ね返る感触が得られます(膝蓋跳動)。関節液貯留を検出する基本手技であり、組合せとして妥当なので、この設問の答えにはなりません。外傷後に陽性であれば関節血症の可能性を考え、整形外科での評価を勧めます。
ポイント
  • ALS=上位・下位運動ニューロンがともに変性。神経原性の真の筋萎縮+線維束性収縮に腱反射亢進・病的反射を伴う。
  • 仮性肥大=デュシェンヌ型筋ジストロフィーの下腿三頭筋。筋線維が脂肪・結合組織に置換され「太いのに弱い」。
  • 項部硬直・ケルニッヒ徴候・ブルジンスキー徴候は髄膜刺激症状(髄膜炎、くも膜下出血)。
  • 小脳障害では筋トーヌス低下・振子様腱反射・運動失調・企図振戦。錐体路障害の痙縮(トーヌス亢進)と逆。
  • 膝蓋跳動は関節液貯留の検出手技。外傷後に陽性なら関節血症を疑い整形外科へ。
比較表
所見見分け方・特徴代表疾患
筋の仮性肥大筋は太く見えるが筋力は弱い。筋線維が脂肪・結合組織に置換(筋原性)デュシェンヌ型筋ジストロフィー(下腿三頭筋)
真の筋萎縮筋が細くなる。線維束性収縮を伴う(神経原性)筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症
項部硬直頸部の他動的前屈で抵抗と疼痛髄膜炎、くも膜下出血
筋トーヌス低下他動運動時の抵抗が減弱、振子様膝蓋腱反射小脳疾患
膝蓋跳動膝蓋骨を押すと大腿骨に当たり跳ね返る膝関節液貯留(関節水腫・血症)
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