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理由で解く 柔道整復師

QJ28P029 一般臨床医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問29
問題
筋肉の所見で誤っているのはどれか。
選択肢
1 小脳の疾患では、筋肉に特有な抵抗が減弱している。
2 シャルコー・マリー・トゥース(Charcot-Marie-Tooth)病では、四肢遠位の筋萎縮がある。
3 デュシェンヌ (Duchenne)型筋ジストロフィーでは、四肢近位の筋萎縮がある。
4 パーキンソン(Parkinson)病では、関節を屈曲させると、ある時点で急に抵抗がなくなる。
解答
正解4(パーキンソン(Parkinson)病では、関節を屈曲させると、ある時点で急に抵抗がなくなる。)
解説

正解は4(=これが誤りの記述)。「動かしていくとある時点で急に抵抗が消える」のは折りたたみナイフ現象で、錐体路障害による痙縮の所見です。パーキンソン病でみられるのは、可動域全体で抵抗が続く固縮(鉛管様・歯車様)です。

この設問は「誤っているものを選ぶ」形式なので、他の3つは正しい記述です。筋の所見は、①筋緊張(他動的に動かしたときの抵抗)と②筋萎縮の分布、の2つの軸で整理すると混乱しません。筋緊張は、錐体路が障害されると痙縮、錐体外路(黒質・線条体系)が障害されると固縮、小脳が障害されると筋緊張低下、と障害部位ごとに型が決まっています。筋萎縮の分布は、末梢神経が長い順に侵される多発ニューロパチーでは遠位優位、筋そのものの病気である多くの筋ジストロフィーや炎症性筋疾患では近位優位になります。触って動かしたときの手ごたえと、どこが細くなっているかを合わせて観察することが、原因の見当をつける手がかりになります。

✓ 4. これが誤り(正答)
パーキンソン(Parkinson)病では、関節を屈曲させると、ある時点で急に抵抗がなくなる。
記載されているのは折りたたみナイフ現象で、脳梗塞や脊髄損傷など錐体路障害による痙縮の特徴です。パーキンソン病の筋緊張亢進は固縮(強剛)で、関節を他動的に動かす間ずっと一様な抵抗が続く鉛管様固縮、あるいはガクガクと断続的に引っかかる歯車様固縮として触れます。手関節や肘をゆっくり屈伸させて手ごたえの質を確かめるのが実際の診かたです。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
小脳の疾患では、筋肉に特有な抵抗が減弱している。
小脳は筋緊張を保つ働きにも関わっているため、障害されると筋緊張低下が生じ、他動運動での抵抗が乏しくなります。関節が振れやすくなる(振り子様の動き)ほか、運動失調・企図振戦・測定障害・反復拮抗運動障害などを伴います。設問の条件(誤っている)に当てはまらないため、答えにはなりません。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
シャルコー・マリー・トゥース(Charcot-Marie-Tooth)病では、四肢遠位の筋萎縮がある。
遺伝性の運動感覚ニューロパチーで、長い末梢神経から侵されるため下肢遠位(下腿・足部)から筋萎縮が始まります。ふくらはぎだけが細くなる逆シャンパンボトル様(コウノトリ脚)の下肢、凹足、槌趾、下垂足による鶏歩が典型で、のちに手内在筋にも及びます。正しい記述なので答えにはなりません。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
デュシェンヌ (Duchenne)型筋ジストロフィーでは、四肢近位の筋萎縮がある。
ジストロフィン欠損による筋疾患で、骨盤帯・大腿など体幹に近い筋から侵されます。動揺性歩行(アヒル歩行)、床から立つときに自分の脚をよじ登るように手をつく登攀性起立(ガワーズ徴候)、下腿三頭筋の仮性肥大が特徴です。正しい記述なので答えにはなりません。
ポイント
  • 折りたたみナイフ現象(途中で急に抵抗が消える)=痙縮錐体路障害の所見。
  • 鉛管様・歯車様に一様な抵抗が続く=固縮錐体外路(パーキンソン病)の所見。
  • 小脳障害では筋緊張低下。抵抗が乏しく、運動失調を伴う。
  • 筋萎縮の分布:末梢神経の病気(CMT病など)は遠位優位、筋自体の病気(デュシェンヌ型など)は近位優位
  • 「誤っているのはどれか」の設問では、正しい3つを消していく解き方が確実。
比較表
筋緊張の型障害部位・代表疾患他動運動での手ごたえ
痙縮錐体路障害(脳梗塞、脊髄損傷など)動かし始めに強い抵抗、ある点で急に抵抗が消える(折りたたみナイフ現象)。速く動かすほど強い
固縮(強剛)錐体外路障害(パーキンソン病など)可動域全体で一様な抵抗(鉛管様)、断続的に引っかかれば歯車様。速度に左右されにくい
筋緊張低下小脳障害、末梢神経・筋の障害抵抗が乏しく、関節が過剰に動く
筋萎縮の分布代表疾患目につく所見
四肢遠位優位シャルコー・マリー・トゥース病、多発ニューロパチー逆シャンパンボトル様の下腿、凹足、下垂足、鶏歩
四肢近位優位デュシェンヌ型筋ジストロフィー、多発性筋炎登攀性起立(ガワーズ徴候)、動揺性歩行、下腿の仮性肥大
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