学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §4 リハビリテーション医学の評価と診断 / QJ27P016

理由で解く 柔道整復師

QJ27P016 リハビリテーション医学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問16
問題
失語症で復唱が可能なのはどれか。
選択肢
1 ブローカ失語
2 ウェルニッケ失語
3 伝導失語
4 健忘失語
解答
正解4(健忘失語)
解説

復唱が保たれるのは健忘失語(失名詞失語)と超皮質性失語です。選択肢のうち復唱が可能なのは健忘失語で、正答は4です。

失語症の分類は「発話の流暢性」「聴覚的理解」「復唱」の3軸で整理すると迷いません。復唱は、聞いた音を理解するウェルニッケ野(左上側頭回後部)から、弓状束を通って発話を組み立てるブローカ野(左下前頭回)へつながる回路が保たれて初めて成立します。ブローカ失語は出口が、ウェルニッケ失語は入口が、伝導失語は両者をつなぐ弓状束が壊れるため、いずれも復唱が障害されます。一方、健忘失語ではこの回路自体は保たれており、語そのものを思い出す(喚語)働きだけが低下します。そのため発話は流暢、理解も良好、復唱も良好なのに、「あれ」「それ」「あの、書くやつ」といった迂言が目立ちます。語頭の音を提示すると想起できることが多く、接し方としては、ゆっくり短い文で話す、絵カードや選択肢を示す、言い直しを急かさない、といった支援が有効です。

✓ 4. 正しい
健忘失語
言語野をつなぐ回路は保たれ、語の想起だけが障害される型です。流暢に話し、理解も良く、復唱も可能で、喚語困難と迂言が主症状となります。
✗ 1. 誤り
ブローカ失語
左下前頭回の障害による運動性失語で、発話は非流暢・努力性、失文法を示します。理解は比較的保たれますが、発話の出力そのものが障害されるため復唱もできません。
✗ 2. 誤り
ウェルニッケ失語
左上側頭回後部の障害による感覚性失語で、話し方は流暢ですが錯語やジャルゴンが混じり、聴覚的理解が不良です。聞いた語を取り込めないため復唱も障害されます。
✗ 3. 誤り
伝導失語
弓状束の離断により、発話は流暢で理解も良好なのに、復唱だけが際立って障害されるのが特徴です。音韻性錯語と、言い直して正解に近づこうとする接近行動がみられます。
ポイント
  • 失語症は「流暢性・理解・復唱」の3軸で分類すると整理できる。
  • 復唱が保たれるのは健忘失語と超皮質性失語(運動性・感覚性・混合性)。
  • 伝導失語は「理解も発話も良いのに復唱だけ悪い」が目印。責任病巣は弓状束。
  • 健忘失語の主症状は喚語困難と迂言。語頭音のヒントで想起できることが多い。
  • 接し方はゆっくり短い文で、絵や選択肢・ジェスチャーを併用し、言い直しを急かさない。
比較表
失語症の型と3軸
流暢性聴覚的理解復唱主な病巣
ブローカ失語非流暢比較的良好障害左下前頭回
ウェルニッケ失語流暢不良障害左上側頭回後部
伝導失語流暢良好強く障害弓状束
健忘失語流暢良好良好側頭葉後下部など
超皮質性失語型により異なる型により異なる良好言語野周辺の分水嶺領域
全失語非流暢不良障害広範な言語野
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