学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §4 リハビリテーション医学の評価と診断 / QJ27P017
理由で解く 柔道整復師

母指の外転・内転は「手掌の面」を基準に決まります。基本軸は橈側外転・掌側外転とも示指(橈骨の延長上)で共通で、移動軸はいずれも母指です。両者を分けるのは基本軸ではなく運動を行う面で、手掌面と同じ平面の中で示指から開いていくのが橈側外転(参考可動域0〜60度)、手掌面に対して直角な面で手掌から立ち上がるのが掌側外転(参考可動域0〜90度)です。本問の正解は掌側外転です。
母指のCM関節(第1手根中手関節)は大菱形骨と第1中手骨がつくる鞍関節で、他の4指とは約90度ねじれた面に位置しているため、運動の名前も「どの面で動いたか」で区別します。関節可動域表示ならびに測定法では、母指の橈側外転・尺側内転・掌側外転・掌側内転はいずれも基本軸を示指(橈骨の延長上)、移動軸を母指として測定し、運動面が掌面であれば橈側外転(0〜60度)・尺側内転(0度)、運動面が掌面に直角な面であれば掌側外転(0〜90度)・掌側内転(0度)と表示します。つまり4つの運動で基本軸・移動軸は共通で、違うのは運動面だけ、と押さえるのが要点です。内転はいずれも外転位から基本肢位へ戻す方向を指し、母指を示指に添えた肢位が0度の基準になります。掌側外転の主動作筋は母指球にある短母指外転筋(正中神経支配)で、これに母指対立筋が加わって初めて母指と示指の指腹を向かい合わせるつまみ(pinch)が成立します。正中神経麻痺で母指球が萎縮すると掌側外転ができずに母指が手掌面へ落ち込み、いわゆる猿手を呈するため、この運動は評価上とくに重要です。
| 運動 | 基本軸 | 移動軸 | 運動面と方向 | 参考可動域 | 主動作筋 | 支配神経 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 橈側外転 | 示指(橈骨の延長上) | 母指 | 掌面の中で、示指から遠ざかる | 0〜60度 | 長母指外転筋 | 橈骨神経(後骨間神経) |
| 尺側内転 (橈側外転と対になる正式な内転。選択肢2の「橈側内転」は測定法に存在しない造語) | 示指(橈骨の延長上) | 母指 | 掌面の中で、示指へ近づく | 0度(基本肢位) | 母指内転筋ほか | 尺骨神経 |
| 掌側外転(正解) | 示指(橈骨の延長上) | 母指 | 掌面に直角な面で、手掌から離れる | 0〜90度 | 短母指外転筋 | 正中神経 |
| 掌側内転 | 示指(橈骨の延長上) | 母指 | 掌面に直角な面で、手掌へ戻る | 0度(基本肢位) | 母指内転筋 | 尺骨神経 |
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