学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §4 リハビリテーション医学の評価と診断 / QJ27P011

理由で解く 柔道整復師

QJ27P011 リハビリテーション医学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問11
問題
閉眼すると悪化する運動失調はどれか。
選択肢
1 大脳性
2 小脳性
3 前庭性
4 脊髄後索性
解答
正解4(脊髄後索性)
解説

立位の安定は「視覚・前庭・深部感覚」の3つの入力で保たれています。深部感覚が失われた失調では、開眼中は視覚が肩代わりしているため、目を閉じた瞬間に大きく崩れます。これが脊髄後索性失調(Romberg徴候陽性)です。

脊髄後索は、下肢の関節位置覚・振動覚を大脳へ伝える経路です。ここが障害されると「自分の足がどこにあるか」の情報が届かなくなりますが、開眼していれば目で足元を確認して姿勢を補正できるため、動揺は目立ちません。閉眼して視覚の代償を外すと支えが一気に減り、動揺・転倒傾向が著明になります。これがRomberg試験(閉足直立で閉眼させる)の原理で、脊髄癆、ビタミンB12欠乏による亜急性連合性脊髄変性症、脊髄後索の圧迫などが代表疾患です。歩行では足を高く上げて踵を打ちつける踵打ち歩行がみられ、足元を見ながら歩く(視覚代償)のも特徴です。なお前庭性失調でもRomberg徴候は陽性になりますが、こちらは回転性めまい・眼振を伴い、倒れる方向が患側へ一定であることで区別します。閉眼による悪化そのものが失調の程度を決めるのは、あくまで深部感覚障害=後索性です。検査時は転倒に備え、検者は側方に立って支えられる位置を確保します。

✓ 4. 正しい
脊髄後索性
深部感覚(位置覚・振動覚)の伝導路である後索の障害では、姿勢制御を視覚に頼っているため、閉眼で視覚代償が外れると失調が著明に悪化します。Romberg徴候陽性を示す代表がこの型で、「閉眼で悪化する運動失調」と問われたときの解答です。
✗ 1. 誤り
大脳性
前頭葉(前頭橋小脳路)や頭頂葉の病変による失調で、起立・歩行の開始困難や体幹動揺が前面に出ます。深部感覚の入力そのものは保たれるため、閉眼で著明に悪化することを特徴とはしません。
✗ 2. 誤り
小脳性
小脳は入力を統合する側の中枢なので、統合装置そのものが壊れている状態です。開眼していても動揺し、閉眼で劇的に悪化はしません(Romberg陰性)。企図振戦・測定障害・変換運動障害・断綴性言語・酩酊様歩行を伴います。
✗ 3. 誤り
前庭性
内耳前庭や前庭神経の障害で、前庭性でもRomberg徴候は陽性となります(閉眼で動揺が増し、患側へ一定方向に倒れる)。ただし前庭性の本態は回転性めまい・眼振・偏倚方向が一定であることといった前庭症状であり、視覚代償の消失そのものが失調の程度を決めるのは深部感覚障害=後索性です。国試では前庭症状(めまい・眼振・一定方向への偏倚)の有無で切り分け、これらを伴わずに閉眼で崩れるものを後索性と判断します。
ポイント
  • 立位保持=視覚・前庭・深部感覚の3入力を小脳が統合して成立する。どれかが欠けても他が補う。
  • 後索障害では深部感覚が欠けた分を視覚が補っているため、閉眼で一気に崩れる=Romberg徴候陽性。
  • 前庭性もRomberg徴候は陽性になる。ただし回転性めまい・眼振を伴い、倒れる方向が患側へ一定。前庭症状の有無で後索性と切り分ける。
  • 小脳性はRomberg陰性。企図振戦・測定障害・変換運動障害・断綴性言語がセット。
  • 後索性の代表疾患は脊髄癆と亜急性連合性脊髄変性症(ビタミンB12欠乏)。踵打ち歩行を伴う。
  • Romberg試験は転倒しやすい検査。検者は側方に立ち、いつでも支えられる位置で行う。
比較表
運動失調の型と閉眼による変化
主な病巣閉眼したとき(Romberg)特徴的な所見
脊髄後索性脊髄後索・後根著明に悪化(陽性)。前庭症状を伴わない位置覚・振動覚低下、踵打ち歩行、足元を見て歩く
小脳性小脳・小脳路大きく変わらない(陰性)企図振戦、測定障害、変換運動障害、断綴性言語、酩酊様歩行
前庭性内耳前庭・前庭神経悪化(陽性)。ただし眼振・回転性めまいを伴い、倒れる方向が一定回転性めまい、眼振、患側へ一定方向に倒れる
大脳性前頭葉・頭頂葉など明らかな悪化を特徴としない起立・歩行開始困難、体幹動揺、病巣と反対側の失調
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