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理由で解く 柔道整復師

QJ27A120 衛生学・公衆衛生学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問120
問題
大気汚染物質として環境基準が定められているのはどれか。
選択肢
1 酸素
2 窒素
3 二酸化炭素
4 浮遊粒子状物質
解答
正解4(浮遊粒子状物質)
解説

大気汚染に係る環境基準が定められているのは浮遊粒子状物質(SPM)。酸素・窒素・二酸化炭素はいずれも大気の正常成分または温室効果ガスで、大気汚染の環境基準は設定されていない。よって4。

環境基準は環境基本法に基づき「人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」として定められる行政上の目標値であり、工場などに直接かかる規制値(排出基準)とは性格が異なる。大気では二酸化硫黄(SO₂)、一酸化炭素(CO)、浮遊粒子状物質(SPM)、二酸化窒素(NO₂)、光化学オキシダント(Ox)の5項目が古くからの基準項目で、後に微小粒子状物質(PM2.5)、ベンゼンなどの有害大気汚染物質、ダイオキシン類が追加された。浮遊粒子状物質は粒径10μm以下の粒子で、鼻腔で捕らえきれずに気管支や肺胞まで届き、喘息や慢性気管支炎を悪化させる。PM2.5は2.5μm以下でさらに深部まで達し、循環器疾患との関連も指摘されている。

✗ 1. 誤り
酸素
大気の約21%を占める正常成分で、汚染物質ではないため環境基準の対象外。ただし労働衛生の分野では、酸素欠乏症等防止規則により作業場の酸素濃度18%以上が求められるという別の基準がある。
✗ 2. 誤り
窒素
大気の約78%を占める主成分で、それ自体は汚染物質ではない。環境基準があるのは窒素そのものではなく、高温燃焼で生じる二酸化窒素(NO₂)である点を区別する。
✗ 3. 誤り
二酸化炭素
地球温暖化の主因ではあるが、大気汚染に係る環境基準は設定されていない。なお室内については建築物環境衛生管理基準(ビル管理法)で1,000ppm以下という別の基準があり、混同しやすいので整理しておく。
✓ 4. 正しい
浮遊粒子状物質
粒径10μm以下の粒子状物質で、大気の環境基準が定められている(1日平均値0.10mg/m³以下、かつ1時間値0.20mg/m³以下)。肺の奥まで入り込んで呼吸器疾患を悪化させるため、健康影響の観点から重要な項目である。
ポイント
  • 大気の環境基準(従来の5項目):SO₂、CO、SPM、NO₂、光化学オキシダント
  • 後にPM2.5、ベンゼン等の有害大気汚染物質、ダイオキシン類を追加
  • SPM=粒径10μm以下PM2.5=2.5μm以下。小さいほど肺の深部に達する
  • 酸素・窒素・二酸化炭素は大気の正常成分または温室効果ガスで、大気汚染の環境基準はない
  • 環境基準は「望ましい目標値」。工場等にかかる排出基準(規制値)とは別物
  • 環境基準は大気のほか、水質・騒音・土壌についても定められている
比較表
物質大気の環境基準備考
浮遊粒子状物質(SPM)あり10μm以下。1日平均0.10mg/m³以下
微小粒子状物質(PM2.5)あり2.5μm以下。平成21年に追加
二酸化硫黄・一酸化炭素・二酸化窒素・光化学オキシダントあり従来からの基準項目
酸素なし大気の正常成分(約21%)
窒素なし大気の主成分(約78%)。NO₂は別
二酸化炭素なし温室効果ガス。室内は1,000ppm以下(ビル管理法)
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