学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §10 先天性異常 / QJ27A107

理由で解く 柔道整復師

QJ27A107 病理学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問107
問題
常染色体劣性遺伝形式をとるのはどれか。
選択肢
1 マルファン(Marfan) 症候群
2 デュシェンヌ (Duchenne)型筋ジストロフィー
3 ゴーシェ (Gaucher)病
4 クラインフェルター(Klinefelter)症候群
解答
正解3(ゴーシェ (Gaucher)病)
解説

常染色体劣性遺伝はゴーシェ病です。マルファン症候群は常染色体優性、デュシェンヌ型筋ジストロフィーはX連鎖劣性、クラインフェルター症候群はそもそも単一遺伝子病ではなく性染色体の数的異常です。

遺伝形式の問題は、まず「単一遺伝子病か染色体異常か」で二分し、単一遺伝子病だけを優性・劣性・X連鎖に振り分けると整理しやすくなります。目安として、酵素が欠損して基質がたまるタイプの代謝疾患(ライソゾーム病、糖原病、フェニルケトン尿症、ウィルソン病など)は常染色体劣性が多く、構造蛋白の異常で結合組織や骨格に形態異常が出るタイプ(マルファン症候群、軟骨無形成症、神経線維腫症I型など)は常染色体優性が多いという傾向があります。ゴーシェ病はライソゾーム酵素グルコセレブロシダーゼの欠損によりグルコセレブロシドが蓄積する病気で、この目安がそのまま当てはまります。染色体異常であるクラインフェルター症候群を遺伝形式の選択肢に混ぜてくる出題は頻出なので、枠が違うことを見抜けるようにしておきましょう。

✓ 3. 正しい
ゴーシェ (Gaucher)病
常染色体劣性遺伝のライソゾーム病です。グルコセレブロシダーゼの欠損によりグルコセレブロシドがマクロファージに蓄積し、しわ状の細胞質をもつゴーシェ細胞が肝・脾・骨髄に出現します。肝脾腫、汎血球減少、骨の疼痛や病的骨折をきたし、型によっては中枢神経症状を伴います。両親が保因者の場合に発症するという劣性の典型像を示します。
✗ 1. 誤り
マルファン(Marfan) 症候群
常染色体優性遺伝です。結合組織の微細線維を構成するフィブリリンの遺伝子異常により、高身長、細く長い四肢と手指(クモ状指)、側弯、水晶体亜脱臼、大動脈基部の拡張・解離をきたします。片方の親から異常遺伝子を受け継げば発症し、世代を追って出現する家系図を示す点が優性の特徴です。
✗ 2. 誤り
デュシェンヌ (Duchenne)型筋ジストロフィー
X連鎖劣性(伴性劣性)遺伝です。ジストロフィン遺伝子の異常により幼児期から近位筋を中心に筋力低下が進み、登はん性起立(ガワーズ徴候)、動揺性歩行、下腿の仮性肥大がみられます。原則として男児に発症し、母親が保因者となる点が常染色体劣性との決定的な違いです。
✗ 4. 誤り
クラインフェルター(Klinefelter)症候群
単一遺伝子の遺伝形式ではなく、性染色体の数的異常(47,XXY)です。減数分裂時の不分離により生じ、高身長、精巣萎縮と無精子症、女性化乳房、二次性徴の乏しさを示します。親から特定の遺伝形式で伝わるものではないため、優性・劣性という枠組みに当てはまりません。
ポイント
  • まず「単一遺伝子病か染色体異常か」で二分する。クラインフェルター症候群(47,XXY)やダウン症候群、ターナー症候群は染色体異常の枠。
  • 常染色体劣性の目安:酵素欠損型の代謝疾患。ゴーシェ病、テイ・サックス病、フェニルケトン尿症、ウィルソン病、糖原病。
  • 常染色体優性の目安:構造蛋白異常による形態疾患。マルファン症候群、軟骨無形成症、神経線維腫症I型、家族性高コレステロール血症、多発性嚢胞腎(成人型)。
  • X連鎖劣性は男性に発症が偏る:デュシェンヌ型筋ジストロフィー、血友病、赤緑色覚異常、伴性無ガンマグロブリン血症。
  • ゴーシェ病はライソゾーム病の代表。ゴーシェ細胞、肝脾腫、骨病変、汎血球減少をセットで押さえる。
比較表
疾患遺伝形式・成因特徴的な所見
ゴーシェ病常染色体劣性グルコセレブロシダーゼ欠損、ゴーシェ細胞、肝脾腫、骨病変
マルファン症候群常染色体優性フィブリリン異常、高身長、クモ状指、水晶体亜脱臼、大動脈解離
デュシェンヌ型筋ジストロフィーX連鎖劣性ジストロフィン異常、ガワーズ徴候、下腿仮性肥大、男児に発症
クラインフェルター症候群染色体数的異常(47,XXY)高身長、精巣萎縮・無精子症、女性化乳房
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