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理由で解く 柔道整復師

QJ27A106 病理学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問106
問題
女性ホルモンの影響を受ける悪性腫瘍はどれか。2つ選べ。
選択肢
1 乳癌
2 肝癌
3 子宮内膜癌
4 悪性黒色腫
解答
正解1(乳癌)、3(子宮内膜癌)
解説

2つ選ぶ問題です。エストロゲンが発生・増殖に関与する悪性腫瘍は乳癌と子宮内膜癌で、いずれも女性ホルモンへの曝露が長いほどリスクが高まります。肝癌と悪性黒色腫は別の要因が主因です。

ホルモン依存性腫瘍とは、その臓器の細胞がホルモン受容体をもち、ホルモン刺激が増殖を促す腫瘍のことです。乳腺と子宮内膜はどちらもエストロゲンの標的臓器であり、腫瘍細胞にもエストロゲン受容体が残っていることが多いため、エストロゲンに曝される期間が長い条件(初経が早い、閉経が遅い、未産、高齢初産、肥満)がリスクとなります。逆にこの性質は治療にも利用され、乳癌では抗エストロゲン薬やアロマターゼ阻害薬が用いられます。とくに子宮内膜癌では、プロゲステロンによる拮抗を欠いたエストロゲン優位の状態が問題となり、閉経後には脂肪組織のアロマターゼが男性ホルモンをエストロゲンへ変換するため肥満が危険因子になります。なお同じ子宮でも子宮頸癌はヒトパピローマウイルス感染が主因であり、ホルモン依存性ではない点を必ず区別しましょう。

✓ 1. 正しい
乳癌
代表的なホルモン依存性腫瘍です。多くの症例で腫瘍細胞にエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体が発現しており、エストロゲンが増殖を促します。初経が早い、閉経が遅い、未産、高齢初産といったエストロゲン曝露期間の長い条件がリスクとなり、受容体陽性例では抗エストロゲン薬やアロマターゼ阻害薬による内分泌療法が有効です。
✓ 3. 正しい
子宮内膜癌
エストロゲン依存性に発生する子宮体癌の代表的な型です。プロゲステロンの拮抗を欠いたエストロゲン優位の状態が子宮内膜増殖症を経て癌化を促します。肥満(脂肪組織のアロマターゼによるエストロゲン産生)、未産、無排卵周期、閉経後、乳癌治療でのタモキシフェン内服が危険因子です。子宮頸癌がヒトパピローマウイルスによるものである点と混同しないようにしましょう。
✗ 2. 誤り
肝癌
肝細胞癌の主因はB型・C型肝炎ウイルスの持続感染と、それを背景とした肝硬変であり、女性ホルモンが発生を促す腫瘍ではありません。ほかにアルコール、アフラトキシン、非アルコール性脂肪肝炎が関与します。発生頻度はむしろ男性に多く、女性ホルモン依存性という説明は当てはまりません。
✗ 4. 誤り
悪性黒色腫
表皮のメラノサイト(色素細胞)に由来する悪性腫瘍で、最大の危険因子は紫外線曝露です。日本人では足底や爪部など日光の当たりにくい部位にも発生し、既存の色素性母斑からの発生もみられます。増殖にホルモン刺激が関与する腫瘍ではありません。
ポイント
  • 本問は2つ選ぶ形式。ホルモン依存性腫瘍として乳癌と子宮内膜癌の2つが正答となる。
  • ホルモン依存性=腫瘍細胞がホルモン受容体をもち、ホルモン刺激で増殖する。エストロゲン曝露期間が長いほどリスクが上がる。
  • 乳癌の危険因子:早い初経、遅い閉経、未産、高齢初産。受容体陽性なら内分泌療法が有効。
  • 子宮内膜癌の危険因子:肥満、未産、無排卵、閉経後、タモキシフェン内服。子宮頸癌(HPV)とは成因が別。
  • 男性側のホルモン依存性腫瘍として前立腺癌(アンドロゲン依存性)も対で覚えておく。
比較表
腫瘍主な発生要因ホルモン依存性
乳癌エストロゲンの長期曝露(早い初経・遅い閉経・未産)あり(ER・PgR陽性例)
子宮内膜癌プロゲステロン拮抗を欠くエストロゲン優位、肥満あり
肝癌B型・C型肝炎ウイルス、肝硬変、アルコールなし(男性に多い)
悪性黒色腫紫外線曝露、色素性母斑なし
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