学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 病理学概論 ▸ §10 先天性異常 / QJ26A108
理由で解く 柔道整復師
器官の原基が次々に形づくられる器官形成期(胎芽期)に催奇形因子が働くと形態異常が残る。この感受性が最も高い臨界期にあたるのが、本問の表記では妊娠3〜10週である。
胎内での発育は三つの時期に分けて考える。第一は着床前後までの前胚子期で、この時期に強い傷害を受けると流産に至るか、細胞が入れ替わって完全に修復されるかのどちらかとなり、中間の「奇形」という形では残りにくい(all or none の法則)。第二が器官形成期で、心臓・中枢神経・眼・耳・四肢・口蓋などの原基が短期間に次々と作られる。細胞の分裂・移動・分化が最も盛んなこの時期に、薬物・放射線・ウイルス感染・アルコールなどの催奇形因子が加わると、その時点で作られている器官に応じた形態異常が残る。ここが臨界期(感受性期)である。第三の胎児期は器官が大きくなり機能を完成させていく時期で、傷害は奇形よりも発育遅延や機能障害として現れる。ここで週数の数え方に注意したい。発生学では受精を起点とする受精後週数(胎齢)を用い、器官形成期は受精後3〜8週にあたる。一方、産科臨床で用いる妊娠週数は最終月経の初日を起点とするため胎齢より約2週先行し、器官形成期は妊娠5〜10週ごろに相当する。本問の「妊娠3〜10週」という表記は受精後の数え方に近く、臨床の妊娠週数とは約2週のずれがあることを知っておくと、実習で混乱しない。実例として、妊娠初期の風疹感染では白内障・難聴・心奇形を伴う先天性風疹症候群が、サリドマイドの服用ではアザラシ肢症が生じた。臨床上は、妊娠の可能性がある時期には市販薬を含めて服用前に医師・薬剤師へ相談し、風疹の抗体価を確認して必要なら妊娠前にワクチン接種を済ませ、葉酸の摂取や禁酒を心がけることが具体的な備えとなる。
| 時期 | 受精後週数(胎齢) | 臨床の妊娠週数(最終月経起算) | 起こりうること |
|---|---|---|---|
| 前胚子期 | 受精〜着床(受精後約2週) | 妊娠2〜4週ごろ | 流産するか完全に修復される(all or none) |
| 器官形成期(胎芽期) | 受精後3〜8週 | 妊娠5〜10週ごろ | 奇形(臨界期)。心・中枢神経・四肢・顔面など |
| 胎児期 | 受精後9週〜出生 | 妊娠11週〜出生 | 発育遅延、機能障害(中枢神経・生殖器など) |
※本問の選択肢「妊娠3〜10週」は受精後(胎齢)に近い数え方による表記である。臨床で用いる妊娠週数は最終月経の初日を起点とし胎齢より約2週先行するため、同じ器官形成期が妊娠5〜10週と表される。国家試験ではこの表記のまま「妊娠3〜10週」を選べばよいが、実習・臨床では起算の違いを必ず確認すること。
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