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理由で解く 柔道整復師

QJ26A109 衛生学・公衆衛生学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問109
問題
症例対照研究と比較した場合のコホート研究の長所はどれか。
選択肢
1 調査費用が少ない。
2 短時間で実施できる。
3 稀な疾病に応用できる。
4 疾病の発生頻度が観察できる。
解答
正解4(疾病の発生頻度が観察できる。)
解説

コホート研究は曝露のある集団とない集団をそろえて将来に向かって追跡するので、「観察した人数」という分母が確保でき、疾病の発生頻度(罹患率)を直接求められる。これが症例対照研究にはない最大の強みである。

2つの設計の違いは「時間の向き」に尽きる。コホート研究は曝露→発病の順に前向きに追うため、罹患率がそのまま計算でき、そこから相対危険(リスク比)や寄与危険も直接導ける。曝露が先で発病が後という時間的前後関係もはっきりするので、因果関係の検討に強い。一方の症例対照研究は、すでに発病した人(症例)と発病していない人(対照)を集めてから過去の曝露をさかのぼる設計で、出発点が患者側であるため「集団の何人中何人が発病したか」という分母が存在せず、罹患率は算出できない(オッズ比で相対危険を近似する)。その代わり少人数・短期間・低コストで実施でき、発症者を先に集められるのでまれな疾病にも使える。「安い・速い・まれな病気に強い」は症例対照研究の3点セットで、その裏返しがコホート研究の短所になる。

✓ 4. 正しい
疾病の発生頻度が観察できる。
曝露群・非曝露群を一定期間追跡するため、観察人数という分母が得られ、罹患率=発生頻度を直接観察できる。相対危険・寄与危険を計算できるのも、この分母があるからである。
✗ 1. 誤り
調査費用が少ない。
多数の対象者を長期間追跡し、脱落を防ぐ管理も必要になるため、費用は大きくなる。費用が少なくて済むのは症例対照研究のほうである。
✗ 2. 誤り
短時間で実施できる。
発病が起こるのを待つ設計なので、数年から数十年を要することが多い。短期間で結論が出せるのは、過去にさかのぼる症例対照研究の長所である。
✗ 3. 誤り
稀な疾病に応用できる。
まれな疾病では、大人数を長期追跡しても発症者がごくわずかしか出ず効率が悪い。発症者を先に集められる症例対照研究のほうがまれな疾病に向く。
ポイント
  • コホート研究=曝露→発病の順に前向きに追う。罹患率・相対危険・寄与危険が直接算出できる。
  • 症例対照研究=発病→過去の曝露をさかのぼる。罹患率は出せず、オッズ比で相対危険を近似する。
  • 「安い・速い・まれな疾病に使える」は症例対照研究の長所。その裏返しがコホート研究の短所。
  • コホート研究は時間的前後関係が明確で、思い出しバイアス(想起バイアス)を受けにくい。
  • 選択肢を見たら、まず「時間の向きはどちらか」を決める。長所・短所はそこから芋づる式に出せる。
比較表
項目コホート研究症例対照研究
時間の向き曝露 → 発病(前向き)発病 → 過去の曝露(後ろ向き)
対象の集め方曝露群・非曝露群を設定して追跡症例群・対照群を設定して曝露歴を聴取
罹患率(発生頻度)算出できる算出できない
主な指標相対危険・寄与危険オッズ比
費用・期間多い・長い少ない・短い
まれな疾病不向き適する
受けやすいバイアス脱落(追跡不能)思い出しバイアス、対照の選択
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