学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §10 先天性異常 / QJ26A107

理由で解く 柔道整復師

QJ26A107 病理学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問107
問題
正しいのはどれか。
選択肢
1 伴性劣性遺伝病は男性には発病しない。
2 ダウン(Down)症候群では第5染色体が1本しか存在しない。
3 マルファン(Marfan)症候群は伴性劣性遺伝形式をとる。
4 家族性大腸ポリポーシスは常染色体優性遺伝形式をとる。
解答
正解4(家族性大腸ポリポーシスは常染色体優性遺伝形式をとる。)
解説

家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)はAPC遺伝子の異常による常染色体優性(顕性)遺伝疾患である。したがって正しいのは4である。

遺伝形式は「どの染色体に乗るか(常染色体かX染色体か)」と「1本の異常で発病するか(優性・顕性)、2本そろって初めて発病するか(劣性・潜性)」の掛け合わせで整理する。常染色体優性遺伝では、患者の子に約1/2の確率で伝わり、男女差なく、世代を飛ばさずに各世代へ患者が現れるのが特徴で、マルファン症候群・家族性大腸ポリポーシス・軟骨無形成症・遺伝性球状赤血球症などが該当する。常染色体劣性遺伝は両親が保因者のときに約1/4の確率で発病し、世代を飛ばして現れる(フェニルケトン尿症など)。X連鎖劣性遺伝では、X染色体を1本しか持たない男性が変異Xを受け取ると発病し、女性は片方が正常なら保因者にとどまるため、患者は男性に偏る。家族性大腸ポリポーシスでは思春期以降に大腸へ100個を超える腺腫が生じ、放置すればほぼ確実に癌化するため、家族歴のある人は若い時期からの定期的な大腸内視鏡検査と、必要に応じた予防的手術について専門医と相談することが勧められる。

✓ 4. 正しい
家族性大腸ポリポーシスは常染色体優性遺伝形式をとる。
APC遺伝子(癌抑制遺伝子)の変異による常染色体優性(顕性)遺伝疾患で、大腸に多数の腺腫が発生し高率に癌化する。男女差なく、各世代に患者が現れる家系図を示す。なお末尾の「130-」は原本のページ番号が混入したもので、選択肢の内容には関係しない。
✗ 1. 誤り
伴性劣性遺伝病は男性には発病しない。
実際は逆で、男性のほうが発病しやすい。男性はX染色体を1本しか持たないため、変異のあるXを1本受け取っただけで発病する。女性は2本のうち片方が正常なら保因者にとどまる。血友病A・B、赤緑色覚異常、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが代表で、いずれも患者は男性に大きく偏る。
✗ 2. 誤り
ダウン(Down)症候群では第5染色体が1本しか存在しない。
ダウン症候群は21番染色体が1本多い21トリソミーである。染色体の本数・番号ともに記述が合わない。なお第5染色体の短腕が部分欠失する疾患としては、猫のような泣き声を特徴とする5p欠失症候群(猫鳴き症候群)が別に知られている。
✗ 3. 誤り
マルファン(Marfan)症候群は伴性劣性遺伝形式をとる。
マルファン症候群は結合組織の微細線維を構成するフィブリリン-1の遺伝子異常による常染色体優性(顕性)遺伝疾患である。高身長・細長い四肢・クモ状指・水晶体亜脱臼・関節弛緩がみられ、大動脈基部の拡張から大動脈解離をきたす危険があるため、激しい運動や強い負荷は主治医の指示に従って調整する。
ポイント
  • 常染色体優性(顕性)=各世代に患者、男女差なし、子に約1/2。マルファン症候群、家族性大腸ポリポーシス、軟骨無形成症。
  • 常染色体劣性(潜性)=世代を飛ぶ、両親は保因者、子に約1/4。フェニルケトン尿症、ウィルソン病。
  • X連鎖劣性=患者は男性に偏る。血友病、赤緑色覚異常、デュシェンヌ型筋ジストロフィー。「男性は発病しない」は誤り。
  • ダウン症候群=21トリソミー。5p欠失症候群(猫鳴き症候群)と混同しない。
  • 家族性大腸ポリポーシスはほぼ確実に癌化する。家族歴があれば早期からの内視鏡検査と専門医への相談を。
比較表
遺伝形式家系図の特徴男女比代表疾患
常染色体優性(顕性)各世代に患者が現れる(垂直伝播)差なしマルファン症候群、家族性大腸ポリポーシス、軟骨無形成症、遺伝性球状赤血球症
常染色体劣性(潜性)世代を飛ぶ/血族婚で頻度上昇差なしフェニルケトン尿症、ウィルソン病、糖原病
X連鎖劣性(伴性劣性)保因者の母から男児へ男性に多い血友病A・B、赤緑色覚異常、デュシェンヌ型筋ジストロフィー
染色体異常原則として孤発疾患によるダウン症候群(21トリソミー)、ターナー症候群、クラインフェルター症候群
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