学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ26P109
理由で解く 柔道整復師

突き指の後にDIP関節だけが自分で伸ばせず、PIP関節は屈伸できる――この所見の組み合わせは、指伸筋腱のいちばん末梢である終止腱が断裂するか、その付着部である末節骨底背側が骨ごと裂離した槌指(マレットフィンガー)に一致します。したがって考えられるのは「指伸筋腱断裂」です。
指の伸筋腱は指背腱膜となり、中節骨底に停止する正中索と、両側の側索が合流して末節骨底に停止する終止腱に分かれます。終止腱が断たれる(あるいはその付着部が裂離する)と末節を起こす力が失われ、深指屈筋に引かれてDIP関節が屈曲位に下垂し、自動伸展は不能・他動伸展は可能という所見になります。一方で正中索は無傷なのでPIP関節の伸展も屈曲も保たれ、障害はDIP関節に限局します。写真(別冊No.3)は手を側方からとらえた側面像で、中指はMP関節・PIP関節の伸展を保ったまま末節だけがDIP関節で掌側へ折れ、指尖が垂れ下がっています。PIP関節部には階段状変形も著明な腫脹もみられません(他指は屈曲位で重なって写ります)。この「PIPは伸びているのにDIPだけが落ちる」姿勢が槌指変形であり、設問の記載どおりの所見です。ただし写真から読み取れるのは肢位までなので、視診・触診ではこれに加えてDIP関節背側の腫脹・皮下出血・圧痛、とくに末節骨底背側の骨性の圧痛(骨性槌指を示唆)と、他指と比べた指先の姿勢を確かめます。DIP関節が伸展位に保たれないまま競技を続けると断端が離開して治癒せず、次第に伸展不全と疼痛が進むため、「痛みが軽い=軽症」とは限らないのが槌指の要注意点です。
| 損傷 | 責任構造・停止部 | 障害される自動運動 | 特徴的な変形 | 本例との一致 |
|---|---|---|---|---|
| 指伸筋腱(終止腱)断裂・付着部裂離=槌指 | 終止腱/末節骨底・背側 | DIP関節の自動伸展が不能(他動伸展は可能) | 末節の下垂(槌指変形) | 一致 |
| 正中索断裂 | 正中索/中節骨底・背側 | PIP関節の自動伸展が不能 | ボタン穴変形(PIP屈曲+DIP過伸展) | 不一致(PIPの伸展は保たれ、DIPは過伸展ではなく伸展不能) |
| 浅指屈筋腱断裂 | 浅指屈筋腱/中節骨・掌側 | DIP関節を伸展位に保ったままのPIP関節屈曲(単独屈曲)が困難/PIP関節の屈曲力が低下。深指屈筋が残るためPIP関節の屈曲自体は可能 | 明らかな変形は乏しい/掌側の腫脹・圧痛 | 不一致(責任構造が屈筋側であり、DIP関節の伸展不能を説明できない) |
| PIP関節背側脱臼 | PIP関節そのものの転位(掌側板の損傷を伴う) | PIP関節の屈伸(弾発性固定) | PIP関節部の階段状変形・腫脹 | 不一致(PIPの屈伸は可能で、写真でもPIP関節部に階段状変形・著明な腫脹がない) |
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