学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ26P108
理由で解く 柔道整復師

瓶の蓋を回した瞬間に示指がMP関節30度屈曲位でロックし、そこからの屈曲はできるのに伸展だけができない。MP関節ロッキングであり、引っかかりを起こしている中手骨頭のふくらみの上=図のbが圧痛部になる。
まず図の読み方から確かめる。図は3枚組で、どれも示指の付け根(MP関節のまわり)を別の角度から描いたものである。左上は手を軽く握って手背・橈側から見た斜位像で、示指の付け根に×が2つ並び、指先側(遠位)が a、手首側(近位)が b。右上は同じ部位を手掌側から見た絵で、示指の基部横紋のすぐ手前(近位)に c。下は手背側から母指と示指の間を見た絵で、第1指間の水かきに接する示指基部に d が打たれている。つまり a〜d の4点はいずれも示指MP関節のすぐ近くに集まっており、違うのは「手背側か掌側か」「MP関節線より遠位か近位か」「示指側か母指側か」だけである。この問題が問うているのは責任病巣の高さではなく、同じMP関節のまわりのどこを押すかである。
次に病態。本例はMP関節ロッキングで、中手骨頭(とくに橈側)にできた骨性の隆起や骨棘に、側副靱帯の一部である副側副靱帯や掌側板が乗り上げ、そこから戻れなくなった状態である。中年の女性に多く示指に好発し、瓶の蓋を回すような強い把持と回旋を伴う動作が引き金になる。屈曲方向にはさらに動くのに伸展だけができないのは、乗り上げた靱帯が伸展方向では隆起を越えられないためで、「関節が壊れている」のではなく「途中で引っかかっている」ことを表す。関節内の炎症ではないので腫脹・熱感を欠き、PIP関節は病巣の外にあるので屈伸は自由である。そして引っかかっている場所そのものが痛むので、圧痛は中手骨頭のふくらみの上、すなわちMP関節線より手首側(近位)に限局する。図でその位置に一致するのは b だけである。
| 図の点 | 図での位置 | そこにある構造 | ここが圧痛点なら考えるもの | 本例 |
|---|---|---|---|---|
| a | 手背側の斜位像。b より指先側(遠位) | MP関節裂隙〜基節骨底の背側。側副靱帯・掌側板の付着側、伸筋腱 | 基節骨底の骨折・裂離、MP関節の外傷(腫脹・変形を伴う) | × |
| b | 手背側の斜位像。a より手首側(近位)=中手骨頭のふくらみの上 | 第2中手骨頭と、そこから起こる側副靱帯・副側副靱帯 | MP関節ロッキング | ○ |
| c | 手掌側の像。示指の基部横紋のすぐ近位 | 屈筋腱と靱帯性腱鞘(A1)=中手骨頭の掌側 | ばね指(弾発指)。弾発現象と結節を伴う | × |
| d | 手背側の像。第1指間の水かきに接する示指基部 | 水かきの皮膚、第1背側骨間筋・母指内転筋 | 母指側の筋・腱の障害、第1指間の損傷 | × |
解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。