学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ26P110

理由で解く 柔道整復師

QJ26P110 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問110
問題
16歳の男子。高校では陸上部に所属し、長距離を専門としている。最近、競技会が近いため練習量を増やしたところ、脛骨の内側に痛みが生じ来所した。脛骨内側後縁部に沿った疼痛とストレッチング痛を認めた。この損傷の原因となるアライメント異常はどれか。
選択肢
1 内反膝
2 扁平足
3 凹足
4 回外足
解答
正解2(扁平足)
解説

長距離走の練習量を急に増やした後に生じた、脛骨内側後縁に沿う疼痛とストレッチング痛はシンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)。その素因となるアライメント異常は扁平足である。

脛骨の内側後縁には、後脛骨筋・長趾屈筋・ヒラメ筋と深部の下腿筋膜が付着する。扁平足では内側縦アーチが低く、立脚期に足部が過度に回内する。すると内側縦アーチを支えている後脛骨筋群は、伸ばされながら力を出す(遠心性収縮)状態を毎歩ごとに強いられ、その牽引が脛骨内側後縁の骨膜に繰り返し加わる。これが痛みの正体なので、圧痛は1点ではなく脛骨内側後縁の中1/3から遠位1/3にかけて「線状」に広がり、足関節の背屈や足部の回内で付着部が伸ばされるとストレッチング痛が誘発される。走行距離の急増、硬い路面、すり減った靴も負荷を増やす。なお1点に限局する強い圧痛や叩打痛、安静時痛があれば脛骨疲労骨折を疑って鑑別する必要がある。

✓ 2. 正しい
扁平足
内側縦アーチの低下により立脚期の回内が過大になり、アーチを支える後脛骨筋・長趾屈筋・ヒラメ筋の付着部に牽引ストレスが集中する。脛骨内側後縁に沿った痛みという本例の所見を、そのまま機序で説明できるアライメント異常である。
✗ 1. 誤り
内反膝
いわゆるO脚で、下肢の荷重軸が膝の内側に偏る。膝内側コンパートメントの変形性関節症や、外側支持組織への負荷から生じる腸脛靱帯炎と関係するが、下腿の後内側にある筋群の付着部へ牽引を集中させる直接の因子ではない。痛みの高さと出どころが合わない。
✗ 3. 誤り
凹足
内側縦アーチが高く足部が硬いタイプで、接地時の衝撃を逃がしにくい。骨や足底腱膜に衝撃が集中するため疲労骨折・足底腱膜炎・腸脛靱帯炎の素因にはなるが、後脛骨筋群を過度に引き伸ばす回内はむしろ起こりにくい。
✗ 4. 誤り
回外足
足部が内がえし(回外)方向へ偏るタイプで、回内とは逆向き。後脛骨筋群への牽引ストレスはむしろ減る方向に働く。足関節外側の捻挫、腓骨筋腱障害、第5中足骨の疲労骨折などを考える場面のアライメント異常である。
ポイント
  • シンスプリント=脛骨内側後縁の中1/3〜遠位1/3に沿う「線状」の痛み。付着する後脛骨筋・長趾屈筋・ヒラメ筋・下腿筋膜の反復牽引が原因。
  • 素因は扁平足・過回内。「回内が増える→アーチを支える筋が引き伸ばされながら働く→付着部の骨膜が痛む」と機序でつなげて覚える。
  • 誘因は練習量や走行距離の急増、硬い路面、すり減った靴、下腿三頭筋の柔軟性低下。
  • 疲労骨折との鑑別が最重要。1点に限局する圧痛・叩打痛・安静時痛・夜間痛があれば疲労骨折を疑い、画像評価のため医療機関へつなぐ。
  • 対応:完全休止ではなく走行距離と路面を一段落として痛みなく走れる量から段階的に戻す。下腿三頭筋・後脛骨筋のストレッチ、足部内在筋の強化、アーチサポートや靴の見直しを並行する。
比較表
アライメント異常足部・下肢の動き増える負荷起こりやすい障害
扁平足(過回内)立脚期に過度の回内、内側縦アーチ低下後脛骨筋・長趾屈筋・ヒラメ筋の付着部への牽引シンスプリント、後脛骨筋腱障害、外反母趾
凹足(ハイアーチ)足部が硬く回内しにくい、衝撃吸収不良骨・足底腱膜への衝撃疲労骨折、足底腱膜炎、腸脛靱帯炎
回外足内がえし方向へ偏る足部外側・腓骨筋群足関節外側捻挫、腓骨筋腱障害、第5中足骨疲労骨折
内反膝(O脚)荷重軸が膝内側へ偏る膝内側コンパートメント、外側支持組織変形性膝関節症(内側型)、腸脛靱帯炎
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。