学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ26P106

理由で解く 柔道整復師

QJ26P106 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問106
問題
21歳の女性。空手の練習中、相手の肘で頬を強打された。2週後、両側の外耳孔前方に圧痛と同部の疼痛による開口制限があるため来所した。顎関節運動時にクリック音はなく、強制的に開口をさせると開口域増大を認めた。この患者で考えられるのはどれか。
選択肢
1 咀嚼筋障害
2 関節包・靱帯障害
3 関節円板障害
4 変形性顎関節症
解答
正解2(関節包・靱帯障害)
解説

圧痛が外耳孔前方=顎関節そのものにあり、クリック音がなく、強制開口で開口域が増える。外傷後2週の経過とあわせて関節包・靱帯障害(顎関節症II型)と考える。

顎関節症は障害されている部位によって、咀嚼筋障害(I型)、関節包・靱帯障害(II型)、関節円板障害(III型)、変形性顎関節症(IV型)に分けられる。本例では圧痛が両側の外耳孔前方、すなわち下顎頭の直上にあり、咬筋や側頭筋といった咀嚼筋の圧痛が主体ではないためI型は考えにくい。開閉口時のクリック音がないことから関節円板の転位を主体とするIII型は合わず、捻髪音や骨変化を伴うIV型も外傷から2週という経過に合わない。強制的に開口させると開口域が増えるのは、関節内での器質的な引っかかりではなく疼痛による防御的な制限であることを示しており、打撲による関節包・靱帯の炎症で無理なく説明できる。対応としては患部の安静、硬い食物や大きな開口を避ける指導、疼痛のない範囲での開口練習を行い、症状が続く場合や咬合の異常を伴う場合は歯科・口腔外科の診察につなぐ。

✗ 1. 該当しない
咀嚼筋障害
咬筋・側頭筋・内側翼突筋などの圧痛や張り、筋の疲労感が主体で、圧痛点は関節部ではなく筋腹にある。本例の圧痛は外耳孔前方の関節部に限局しており合致しない。
✓ 2. 正しい
関節包・靱帯障害
外傷を契機とした関節包・靱帯の炎症で、関節部(外耳孔前方)の圧痛と運動時痛、疼痛による開口制限を示す。関節雑音はなく、強制開口で開口域が増える点が特徴で、本例の所見と一致する。
✗ 3. 該当しない
関節円板障害
復位性の円板転位では開閉口時のクリック音、非復位性では円板が引っかかって開口が物理的に制限され、強制開口でも開口域は増えない。本例はクリックがなく強制開口で開口域が増えるため合致しない。
✗ 4. 該当しない
変形性顎関節症
下顎頭の骨変化を伴う慢性の病態で、捻髪音(クレピタス)と画像上の骨の変形が特徴。中高年に多く、21歳・外傷から2週という急性の経過には合わない。
ポイント
  • 顎関節症の病型:I型=咀嚼筋障害、II型=関節包・靱帯障害、III型=関節円板障害、IV型=変形性顎関節症
  • 鑑別の軸は圧痛の部位(筋腹か関節部か)と関節雑音(クリックか捻髪音か、なしか)。
  • 強制開口で開口域が増える=疼痛による制限、増えない=円板の引っかかりなど器質的制限。
  • 外耳孔前方の圧痛+クリックなし+外傷歴 → 関節包・靱帯障害(II型)を第一に考える。
  • 対応は安静・硬い食物や大開口の回避・疼痛のない範囲での開口練習。骨折や咬合異常が疑われれば歯科口腔外科へ紹介する。
比較表
病型圧痛の部位関節雑音強制開口での開口域
I型 咀嚼筋障害咬筋・側頭筋など筋腹なし増大する
II型 関節包・靱帯障害関節部(外耳孔前方)なし増大する
III型 関節円板障害関節部クリック音(復位性)非復位性では増大しない
IV型 変形性顎関節症関節部捻髪音(クレピタス)骨変化に応じて制限
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