学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ26P084

理由で解く 柔道整復師

QJ26P084 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問84
問題
中手骨頸部骨折の整復で正しいのはどれか。
選択肢
1 整復時、手関節は軽度屈曲位とする。
2 側副靱帯を弛緩させて行う。
3 MP関節伸展位で末梢牽引を行う。
4 遠位骨片を掌側から背側に直圧する。
解答
正解4(遠位骨片を掌側から背側に直圧する。)
解説

中手骨頸部骨折では骨頭が掌側へ屈曲転位する。整復はMP関節を90度屈曲して側副靱帯を緊張させ、骨頭を掌側から背側へ押し戻す。

第5中手骨に好発し、拳で殴打した際の長軸圧で頸部が折れる(いわゆるボクサー骨折)。骨間筋の牽引によって骨頭が掌側へ屈曲し、背側凸の変形と手背の隆起消失(ナックルの消失)を生じる。整復では、まずMP関節を90度屈曲させる。この肢位では側副靱帯が緊張して骨頭と基節骨が一体となるため、基節骨をハンドルのように使って骨頭を操作できる(Jahss法)。次にPIP関節も屈曲し、基節骨を長軸方向に押し上げながら、術者の母指で骨頭を掌側から背側へ直圧して屈曲転位を矯正する。手関節は軽度背屈位に保つ。整復後は回旋転位が残っていないか、指を屈曲させて爪面の向きや指先が舟状骨結節へ収束するかで必ず確認する。

✗ 1. 誤り
整復時、手関節は軽度屈曲位とする。
手関節は軽度背屈位とする。手関節を屈曲させると手内筋・屈筋腱の緊張バランスが崩れ、整復位の保持や指の機能肢位の確保に不利となる。固定も手関節軽度背屈・MP関節屈曲位(内在筋プラス肢位)が基本である。
✗ 2. 誤り
側副靱帯を弛緩させて行う。
逆で、MP関節を90度屈曲させて側副靱帯を緊張させる。緊張させることで骨頭が基節骨としっかり連結し、基節骨を介して骨頭をコントロールできる。伸展位では側副靱帯が緩み、基節骨を動かしても骨頭が付いてこない。
✗ 3. 誤り
MP関節伸展位で末梢牽引を行う。
MP関節伸展位では側副靱帯が弛緩しているため、末梢牽引をかけても掌側に屈曲した骨頭は起き上がらない。MP関節・PIP関節を屈曲させ、基節骨を介して長軸方向に押し上げる操作が有効である。
✓ 4. 正しい
遠位骨片を掌側から背側に直圧する。
掌側へ屈曲した遠位骨片(骨頭)を、屈曲させた基節骨を介して掌側から背側へ押し上げるのが整復の要点。同時に近位骨片(骨幹部)を背側から掌側へ押さえると、屈曲転位が効率よく矯正される。
ポイント
  • 中手骨頸部骨折=第5中手骨に好発(ボクサー骨折)。骨間筋の作用で骨頭が掌側へ屈曲転位し、背側凸変形・ナックルの消失を示す。
  • 整復のかなめはMP関節90度屈曲で側副靱帯を緊張させ、基節骨を介して骨頭を背側へ押し上げること(Jahss法)。
  • 手関節は軽度背屈位。固定は手関節軽度背屈・MP関節屈曲位(内在筋プラス肢位)で拘縮を防ぐ。
  • 整復後は回旋転位の残存を必ずチェック(指屈曲時の爪面の向き、指先の収束)。
  • 屈曲転位は第4・5中手骨ではある程度許容されるが、回旋転位は機能障害を残すため許容されない。
比較表
整復の要素正しい方法誤りやすい操作
手関節の肢位軽度背屈位屈曲位にする
MP関節の肢位90度屈曲位伸展位にする
側副靱帯緊張させて骨頭を制御弛緩させる
力の加え方基節骨を介した押し上げ+骨頭を掌側から背側へ直圧末梢牽引のみで矯正しようとする
整復後の確認爪面の向き・指先の収束で回旋をみる背側の隆起だけで判定する
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。