学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ26P083

理由で解く 柔道整復師

QJ26P083 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問83
問題
手根骨骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 舟状骨骨折は直達外力によって発生することが多い。
2 小菱形骨骨折に合併する骨折では第1中手骨骨折がある。
3 有鈎骨鈎骨折はゴルファーにみられる。
4 月状骨単独骨折は月状骨周囲脱臼より多く発生する。
解答
正解3(有鈎骨鈎骨折はゴルファーにみられる。)
解説

有鈎骨鈎骨折は、ゴルフクラブやバットのグリップが手掌尺側に打ちつけられて起こる。ゴルファー・野球選手に典型的である。

有鈎骨鈎は手掌尺側で豆状骨のやや遠位橈側に突出する骨性の隆起で、ギヨン管の橈側壁をなし、尺骨神経・尺骨動脈や屈筋腱が近接して走る。ゴルフでクラブヘッドを地面に打ち込んだとき、あるいはバットのグリップエンドが当たったときに、グリップを介した直達外力で折れる。単純エックス線の正面像では骨が重なって写りにくいため、手根管撮影やCTでないと確認できず、見逃されて偽関節となり、環指・小指のしびれ(尺骨神経障害)や深指屈筋腱の断裂を続発することがある。手掌尺側の圧痛と握力低下、グリップ時痛があれば本骨折を疑い、画像診断のため医師の診察につなぐ。

✗ 1. 誤り
舟状骨骨折は直達外力によって発生することが多い。
手を衝いて手関節を背屈強制される介達外力で発生することが多い。腰部(中央1/3)の骨折が最も多く、嗅ぎタバコ窩(解剖学的嗅ぎタバコ入れ)の圧痛が特徴。受傷直後のエックス線では骨折線が写らないことがあり、偽関節や近位骨片の阻血性壊死を招くため、疑ったら固定して医師の再評価につなぐ。
✗ 2. 誤り
小菱形骨骨折に合併する骨折では第1中手骨骨折がある。
小菱形骨が関節をつくるのは第2中手骨基部なので、合併するのは第2中手骨骨折である。第1中手骨基部と関節をなすのは大菱形骨で、こちらは第1中手骨基部骨折(ベネット骨折など)と関係する。手根骨と中手骨の対応関係で判断できる。
✓ 3. 正しい
有鈎骨鈎骨折はゴルファーにみられる。
グリップが手掌尺側の有鈎骨鈎に直接当たることで発生する。ゴルフのほか野球(バット)、テニス(ラケット)でもみられる。通常のエックス線正面像では写りにくいことを知っておき、手掌尺側の限局した圧痛があれば追加撮影のできる医療機関へ紹介する。
✗ 4. 誤り
月状骨単独骨折は月状骨周囲脱臼より多く発生する。
逆で、手根部の外傷では月状骨周囲脱臼(および月状骨脱臼)のほうが多く、月状骨の単独骨折はまれである。月状骨に関連する病態としては、慢性的な負荷による月状骨軟化症(キーンベック病)も併せて押さえておく。
ポイント
  • 舟状骨骨折=手を衝く介達外力・背屈強制。嗅ぎタバコ窩の圧痛。初回X線陰性でも疑いを残す(偽関節・阻血性壊死)。
  • 有鈎骨鈎骨折=グリップによる直達外力(ゴルフ・野球)。手根管撮影やCTで確認。尺骨神経障害・屈筋腱断裂に注意。
  • 手根骨と中手骨の対応:大菱形骨-第1中手骨/小菱形骨-第2中手骨/有頭骨-第3中手骨/有鈎骨-第4・5中手骨
  • 月状骨は単独骨折よりも月状骨周囲脱臼・月状骨脱臼が多い。正中神経障害の合併に注意。
  • 手根骨骨折は転位が乏しく見逃されやすい。限局した圧痛があれば固定し、画像診断のため医師へつなぐ。
比較表
骨折外力・状況特徴的所見
舟状骨骨折介達(手を衝く・背屈強制)嗅ぎタバコ窩の圧痛、偽関節・阻血性壊死
有鈎骨鈎骨折直達(グリップが手掌尺側に当たる)手掌尺側の圧痛、握力低下、尺骨神経障害
大菱形骨骨折母指列への軸圧・直達第1中手骨基部骨折を合併しうる
小菱形骨骨折第2中手骨列を介した軸圧第2中手骨骨折を合併しうる
月状骨周囲脱臼手関節背屈強制単独骨折よりも頻度が高い、正中神経障害
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