学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ26P080

理由で解く 柔道整復師

QJ26P080 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問80
問題
上腕骨骨幹部横骨折で偽関節が発生しやすい原因はどれか。
選択肢
1 接触面積が広い。
2 海綿質が豊富である。
3 整復位保持が困難である。
4 軟部組織が介在しやすい。
解答
正解3(整復位保持が困難である。)
解説

骨癒合には骨折部の安静が要ります。上腕は重力に引かれ、肩と肘という大きな関節に挟まれて整復位を保ちにくいため、3が偽関節の原因として正しいものです。

偽関節は、骨片の間に絶えず微細な動きが加わって仮骨の架橋が妨げられ、骨折端が硬化して線維性の結合にとどまった状態です。上腕骨骨幹部はこの条件がそろいやすい場所で、上肢が懸垂状態で重力による牽引を受けること、体幹に密着させにくくギプスや副子でも完全な制動が難しいこと、肩と肘の動きが骨折部に剪断力と回旋力として伝わることが重なります。加えて横骨折は骨折面が短く噛み合いが浅いので、わずかな動揺でも骨片同士がずれ、癒合の条件が崩れやすくなります。だからこそ固定では、肩と肘の動きを含めて制動する固定材料の選択と、骨折部に回旋力が加わらない肢位の保持が要点になります。

✓ 3. 正しい
整復位保持が困難である。
重力による牽引と肩・肘の動きが骨折部に伝わり、噛み合いの浅い横骨折では骨片が動揺し続けます。この持続的な動きが仮骨形成を妨げ偽関節につながるため、固定材料と肢位を工夫して骨折部の剪断・回旋を抑え、経過中も転位の有無を繰り返し確認していきます。
✗ 1. 誤り
接触面積が広い。
横骨折はむしろ骨折面の接触面積が小さい骨折型です。加えて接触面積が広いことは骨癒合に有利に働く条件なので、偽関節の原因として筋道が通りません。
✗ 2. 誤り
海綿質が豊富である。
骨幹部は緻密質(皮質骨)が主体で海綿質は乏しい部位です。海綿質は血流が豊富で骨癒合に有利なので、これも偽関節の理由にはなりません。
✗ 4. 誤り
軟部組織が介在しやすい。
骨片間への軟部組織の介在は確かに癒合を妨げますが、介在が問題になりやすいのは骨片が大きく離開・回旋する斜骨折や螺旋骨折、粉砕骨折です。骨折端が正対する横骨折に固有の原因として挙げるには当たりません。
ポイント
  • 偽関節の三大条件=骨折部の持続的な動き、血行不良、骨片間への介在物。
  • 上腕骨骨幹部は重力牽引を受け、肩・肘の動きが伝わるため整復位保持が難しい。
  • 横骨折は接触面積が小さく噛み合いが浅いので動揺しやすい。
  • 固定は肩・肘の動きを含めて制動し、回旋力が加わらない肢位を保つ。
  • 上腕骨骨幹部中下1/3境界部では橈骨神経麻痺(下垂手)の合併にも注意する。
比較表
条件骨癒合に有利骨癒合に不利
骨折型斜骨折・螺旋骨折(接触面積が大きい)横骨折(接触面積が小さい)
骨質海綿質(骨端部・血流豊富)緻密質主体の骨幹部
固定骨折部を確実に制動できる重力・関節運動で動揺する
骨片間密着している軟部組織の介在・離開
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