学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ26P079

理由で解く 柔道整復師

QJ26P079 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問79
問題
介達外力による上腕骨骨折で遠位骨片が前上方に転位するのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 外科頸内転型骨折
2 骨幹部骨折(三角筋付着部より遠位骨折)
3 顆上屈曲型骨折
4 外顆骨折
解答
正解1(外科頸内転型骨折)、3(顆上屈曲型骨折)
解説

遠位骨片の行き先は、そこに付く筋が引く方向で決まります。前上方へ引かれるのは外科頸内転型骨折と顆上屈曲型骨折なので、1と3が正答です。

上腕骨の骨折は、骨折線の高さと筋付着の位置関係を並べておけば転位方向を毎回導けます。外科頸内転型では近位骨片が棘上筋などで外転位に残り、遠位骨片は大胸筋・広背筋・大円筋によって前内方へ引かれ、同時に三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋によって上方へ引かれるため、これらが合わさって前上方へ転位し、骨折部は前外方凸となります。顆上屈曲型は肘屈曲位で肘後方から外力を受けて生じ、遠位骨片が前上方へずれる(伸展型では後上方へずれる)のが特徴で、両者は正反対の関係です。骨幹部では三角筋付着部を境に転位パターンが入れ替わる点、外顆骨折では前外方転位に回転が加わる点が、それぞれの識別点になります。

✓ 1. 正しい
外科頸内転型骨折
近位骨片は棘上筋などに引かれて外転位をとります。遠位骨片は大胸筋・広背筋・大円筋によって前内方へ引かれ、これに三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋による上方への牽引が加わるため、合成された結果として前上方に転位します。骨折部は前外方凸の変形となり、整復後は転位方向と逆の外転位で固定するのが原則です。
✓ 3. 正しい
顆上屈曲型骨折
肘関節屈曲位で肘後方から外力が加わって発生し、遠位骨片は前上方へ転位します。伸展型の後上方転位と鏡像の関係にあり、整復後の固定肢位も伸展型(鋭角屈曲位)とは逆に、伸展位寄りで保持します。
✗ 2. 誤り
骨幹部骨折(三角筋付着部より遠位骨折)
三角筋付着部より遠位で折れると、近位骨片が三角筋に引かれて外上方へ転位し、遠位骨片は上腕二頭筋・上腕三頭筋に引かれて上方へ短縮します。遠位骨片が三角筋に引かれるのは三角筋付着部より近位で折れた場合で、その方向は外上方です。いずれにせよ前上方への転位を示すのは外科頸内転型と顆上屈曲型で、骨幹部骨折はどちらの高さで折れても該当しません。
✗ 4. 誤り
外顆骨折
小児に多く、肘内反の強制と前腕伸筋群の牽引で外顆骨片が前外方へ転位し、さらに回転(回旋)転位を伴うのが特徴です。前上方への転位という表現には当てはまりません。回転が残ると外反肘と遅発性尺骨神経麻痺の原因となるため、整復精度が問われます。
ポイント
  • 遠位骨片が前上方に転位=外科頸内転型骨折と顆上屈曲型骨折。
  • 外科頸内転型の機序=大胸筋・広背筋・大円筋が遠位骨片を前内方へ+三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋が上方へ→合成して前上方。
  • 外科頸は外転型が前内方転位、内転型が前上方転位。骨折部の凸の向きも逆になる。
  • 顆上骨折は伸展型が後上方、屈曲型が前上方。固定肢位も逆になる。
  • 骨幹部は三角筋付着部が境目。付着部より近位の骨折=遠位骨片が三角筋に引かれ外上方へ/付着部より遠位の骨折=近位骨片が三角筋に引かれ外上方へ、遠位骨片は上方へ短縮。いずれも前上方転位ではない。
  • 外顆骨折は前外方転位+回転転位。回転の残存が外反肘・遅発性尺骨神経麻痺を招く。
比較表
骨折遠位骨片の転位近位骨片・備考
外科頸内転型前上方(前内方への牽引+上方への牽引の合成)近位骨片は外転位。骨折部は前外方凸
外科頸外転型前内方近位骨片は内転位。骨折部は前内方凸
骨幹部(三角筋付着部より近位)三角筋に引かれ外上方近位骨片は内方へ
骨幹部(三角筋付着部より遠位)上方へ短縮近位骨片が三角筋で外上方へ
顆上伸展型後上方鋭角屈曲位で固定
顆上屈曲型前上方伸展位寄りで固定
外顆骨折前外方+回転回転残存で外反肘
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