学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ26P071

理由で解く 柔道整復師

QJ26P071 柔道整復理論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問71
問題
筋腱と骨摩擦部の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 棘上筋腱-小結節部
2 上腕二頭筋腱-関節下結節部
3 長母指伸筋腱-リスター結節部
4 長母指外転筋腱-尺骨茎状突起部
解答
正解3(長母指伸筋腱-リスター結節部)
解説

腱が骨の隆起や溝を滑車のように回り込む場所が「摩擦部」。正しい組合せは長母指伸筋腱とリスター結節部である。

腱は骨の突起で走行を変え、その部位で強い摩擦を受けるため、腱鞘炎や皮下断裂の好発部となる。長母指伸筋腱は手関節背側の第3区画を通り、橈骨遠位背側に突出するリスター結節(背側結節)の尺側を回り込んで母指へ向かう。この鋭角の走行変化のため、橈骨遠位端骨折後や関節リウマチでは同部で腱がすり切れ、母指のIP関節を伸ばせなくなる皮下断裂を起こすことがある。組合せ問題は暗記に頼らず、「どの腱がどの骨の目印を通るか」を走行と代表疾患(ドケルバン病、上腕二頭筋長頭腱炎など)とセットで押さえると確実になる。

✗ 1. 誤り
棘上筋腱-小結節部
小結節に停止するのは肩甲下筋腱で、棘上筋腱は大結節の上面に停止する。棘上筋腱の摩擦部は大結節と烏口肩峰アーチ(肩峰・烏口肩峰靱帯)の間で、ここでの衝突が肩峰下インピンジメント症候群となる。
✗ 2. 誤り
上腕二頭筋腱-関節下結節部
上腕二頭筋長頭腱は肩甲骨の関節上結節から起こり、結節間溝を通って下行する。摩擦部は結節間溝であり、ここでの炎症が上腕二頭筋長頭腱炎(ヤーガソンテスト陽性)となる。関節下結節から起こるのは上腕三頭筋長頭。
✓ 3. 正しい
長母指伸筋腱-リスター結節部
長母指伸筋腱は第3区画を走り、リスター結節を滑車として尺側から橈側へ方向を変える。橈骨遠位端骨折後(受傷から数週〜数か月後)に同部で摩擦・血行障害を受けて皮下断裂を起こすことが知られており、骨折後に母指IP関節の伸展ができなくなったら医師の診察を勧める。
✗ 4. 誤り
長母指外転筋腱-尺骨茎状突起部
長母指外転筋腱は短母指伸筋腱とともに第1区画を通り、橈骨茎状突起部で摩擦を受ける。ここでの狭窄性腱鞘炎がドケルバン病(フィンケルシュタインテスト陽性)。尺骨茎状突起の背側を通るのは尺側手根伸筋腱(第6区画)である。
ポイント
  • 長母指伸筋腱=第3区画・リスター結節。橈骨遠位端骨折後の皮下断裂(母指IP伸展不能)に直結する。
  • 長母指外転筋腱+短母指伸筋腱=第1区画・橈骨茎状突起。ドケルバン病、フィンケルシュタインテスト。
  • 上腕二頭筋長頭腱=関節上結節起始・結節間溝を通過。長頭腱炎、ヤーガソンテスト。
  • 棘上筋腱=大結節に停止・肩峰下で摩擦。肩峰下インピンジメント症候群。小結節は肩甲下筋。
  • 摩擦部は腱鞘炎・皮下断裂の好発部。骨の目印と代表疾患・徒手検査を三点セットで覚える。
比較表
骨の目印(摩擦部)代表疾患・所見
長母指外転筋腱・短母指伸筋腱(第1区画)橈骨茎状突起ドケルバン病/フィンケルシュタインテスト
長母指伸筋腱(第3区画)リスター結節橈骨遠位端骨折後の皮下断裂
尺側手根伸筋腱(第6区画)尺骨頭背側の溝(尺骨茎状突起部)尺側手根伸筋腱炎・脱臼
上腕二頭筋長頭腱結節間溝長頭腱炎/ヤーガソンテスト
棘上筋腱大結節と烏口肩峰アーチの間肩峰下インピンジメント症候群
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