学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §8 疾患別各論 感染性疾患 / QJ26P059

理由で解く 柔道整復師

QJ26P059 整形外科学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問59
問題
正しい組合せはどれか。
選択肢
1 小児急性化膿性骨髄炎-骨端に好発
2 ブロディ (Brodie) 膿瘍-瘻孔
3 化膿性関節炎-肺炎球菌
4 脊椎カリエス-流注膿瘍
解答
正解4(脊椎カリエス-流注膿瘍)
解説

骨・関節の感染は「どこに」「どの菌が」「どんな経過で」の3点で整理します。脊椎カリエス(結核性脊椎炎)では膿が筋膜や筋鞘に沿って重力方向へ流れ落ち、離れた場所に流注膿瘍(冷膿瘍)として現れるため、4が正しい組合せです。

小児の急性化膿性骨髄炎は、血流が急に遅くなって細菌が停滞しやすい骨幹端の毛細血管ループが初発部位で、起炎菌は黄色ブドウ球菌が最多です。ブロディ膿瘍は、菌の毒力が弱いか宿主の抵抗が勝った結果、骨幹端の海綿骨内に膿瘍が閉じ込められた慢性限局性骨髄炎で、全身症状に乏しく、外に抜ける道である瘻孔をつくりません。化膿性関節炎も黄色ブドウ球菌が最多で、関節液中の白血球が放出する酵素で軟骨が数日単位で壊れるため、緊急のドレナージと抗菌薬が必要です。脊椎カリエスは椎体の前方から始まり、椎間板を破って隣接椎体へ広がり、生じた膿が腸腰筋鞘などに沿って下降して鼠径部や大腿に腫瘤として触れます。腰背部痛が長引き、微熱・体重減少・寝汗を伴う例では結核性を念頭に置き、早期に医療機関へつなぐ判断が求められます。

✗ 1. 誤り
小児急性化膿性骨髄炎-骨端に好発
好発部位は骨端ではなく骨幹端です。骨幹端では動脈が急に細い静脈洞に移行して血流が滞るため、血行性にきた細菌が住みつきます。骨端側は成長軟骨が関門となって進入を防ぎますが、成長軟骨を血管が貫く乳児期は例外的に関節へ波及しやすい、という但し書きもあわせて覚えておくと安全です。
✗ 2. 誤り
ブロディ (Brodie) 膿瘍-瘻 孔
ブロディ膿瘍は骨内に膿瘍が限局した慢性限局性骨髄炎で、外へ抜ける排膿路である瘻孔はつくらないのが特徴です。瘻孔がみられるのは、腐骨をかかえて排膿が続く一般の慢性骨髄炎のほうです。「限局=出口がない」と結びつけると覚えやすくなります。
✗ 3. 誤り
化膿性関節炎-肺炎球菌
化膿性関節炎の起炎菌は黄色ブドウ球菌が最多です。肺炎球菌は主たる起炎菌ではありません。骨髄炎も関節炎も第一に黄色ブドウ球菌、と一本化して覚えておくと迷いません(若年成人では淋菌、乳幼児ではインフルエンザ桿菌なども背景に応じて考えます)。
✓ 4. 正しい
脊椎カリエス-流注膿瘍
結核性脊椎炎では、熱感や発赤に乏しい冷膿瘍が生じ、腸腰筋鞘などに沿って重力に従って下降し、病巣から離れた鼠径部・大腿に腫瘤として出現します。これが流注膿瘍です。あわせて、椎体が潰れて生じる鋭い後彎(亀背・Gibbus)と、脊髄が圧迫されて起こるPott麻痺(対麻痺)も、脊椎カリエスの三点セットとして押さえてください。
ポイント
  • 小児急性化膿性骨髄炎=骨幹端に好発、黄色ブドウ球菌が最多。骨端は成長軟骨が関門になる。
  • ブロディ膿瘍=骨内に限局した慢性膿瘍。全身症状に乏しく瘻孔をつくらない。
  • 化膿性関節炎=黄色ブドウ球菌が最多。軟骨破壊が急速で緊急対応が必要。
  • 脊椎カリエス=流注膿瘍(冷膿瘍)、後彎変形(Gibbus)、Pott麻痺の3点セット。
  • 長引く腰背部痛に微熱・寝汗・体重減少を伴う例は結核性を疑い、早期に医療機関へつなぐ。
比較表
疾患好発部位主な起炎菌特徴的所見
小児急性化膿性骨髄炎長管骨の骨幹端黄色ブドウ球菌高熱、激痛、患肢を動かさない
ブロディ膿瘍骨幹端の海綿骨内黄色ブドウ球菌(弱毒)限局した骨内膿瘍、瘻孔なし、症状に乏しい
化膿性関節炎股・膝など大関節黄色ブドウ球菌関節腫脹・熱感、急速な軟骨破壊
脊椎カリエス胸腰椎の椎体前方結核菌流注膿瘍、後彎変形(Gibbus)、Pott麻痺
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