学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §14 疾患別各論 神経・筋疾患 / QJ26P058

理由で解く 柔道整復師

QJ26P058 整形外科学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問58
問題
アテトーゼ型脳性麻痺で誤っているのはどれか。
選択肢
1 麻痺は永続的である。
2 緊張時の不随意運動がある。
3 知能低下がある。
4 大脳基底核に障害がある。
解答
正解3(知能低下がある。)
解説

脳性麻痺は「非進行性の脳病変による、永続的だが変化しうる運動と姿勢の異常」。アテトーゼ型は大脳基底核の障害で、知能は保たれることが多い。したがって3が設問の答え(誤っている記述)である。

脳性麻痺は、受胎から新生児期(生後4週以内)までに生じた脳の非進行性病変にもとづき、満2歳までに発現する運動・姿勢の異常と定義される。進行性疾患や一過性の運動障害、将来正常化する運動発達の遅れは含まない。アテトーゼ型は核黄疸(高ビリルビン血症)や低酸素により大脳基底核(線条体・淡蒼球)が障害されて起こり、ゆっくりとした不随意運動が主体となる。不随意運動は緊張・随意運動・情動で強まり、睡眠中には消失するのが特徴である。一方、知能障害やてんかんの合併が多いのは、錐体路(大脳皮質運動野・皮質脊髄路)が障害される痙直型である。「病変部位が違えば合併しやすい症状も違う」と結び付けて整理したい。

✓ 3. これが誤り(設問の答え)
知能低下がある。
アテトーゼ型では知能が保たれていることが多く、「知能低下がある」と一括りにはできない。不随意運動のために発語・書字・表情でのやりとりが難しく、実際より低く見積もられやすい点に注意する。評価の際は、時間をゆとりをもって取り、文字盤やスイッチ入力など本人が使いやすい意思伝達の手段を整えたうえで判断し、施術中も本人に直接確認しながら進める。
✗ 1. 正しい記述(設問の答えではない)
麻痺は永続的である。
脳性麻痺の定義そのものに「永続的な、しかし変化しうる運動および姿勢の異常」と示されている。原因となる脳病変は非進行性だが、麻痺が消えてなくなるわけではない。ただし成長や訓練によって現れ方は変化するため、年齢に応じて姿勢や動作の評価をやり直す姿勢が求められる。
✗ 2. 正しい記述(設問の答えではない)
緊張時の不随意運動がある。
アテトーゼ型の中心症状で、ゆっくりとねじれるような不随意運動が、緊張・随意運動の開始・情動の高まりで増強し、安静時に軽減、睡眠中には消失する。施術ではまず本人が楽な肢位を確保し、声かけと環境で緊張を下げてから触れると、不随意運動を抑えたまま評価しやすい。
✗ 4. 正しい記述(設問の答えではない)
大脳基底核に障害がある。
アテトーゼ型の責任病巣は大脳基底核(線条体・淡蒼球)で、核黄疸が代表的な原因として挙げられる。錐体外路系の障害であるため、腱反射亢進や痙縮を主体とする痙直型(錐体路障害)とは症状の組み立てが異なる。病型を問われたら、まず病変部位を思い出す手順にすると答えが安定する。
ポイント
  • 脳性麻痺=受胎から生後4週までに生じた脳の非進行性病変による、永続的だが変化しうる運動・姿勢の異常(満2歳までに発現)。
  • アテトーゼ型の病変部位は大脳基底核(線条体・淡蒼球)。核黄疸が代表的な原因。
  • 不随意運動は緊張・随意運動・情動で増強し、睡眠中は消失する。
  • アテトーゼ型では知能は保たれることが多い。伝達手段を整えてから評価する。
  • 知能障害やてんかんの合併が多いのは痙直型(錐体路障害)。病変部位と合併症をセットで覚える。
比較表
病型主な病変部位運動の特徴知能障害の合併
痙直型錐体路(大脳皮質運動野・皮質脊髄路)痙縮、腱反射亢進、折りたたみナイフ現象、尖足・はさみ肢位多い(てんかんも合併しやすい)
アテトーゼ型大脳基底核(線条体・淡蒼球)ゆっくりした不随意運動。緊張・随意運動で増強し、睡眠中は消失比較的少なく、保たれることが多い
参考:失調型小脳平衡障害、企図振戦、測定障害、動揺歩行本設問の射程外。合併することがあり、頻度は成書により幅がある
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