学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ26P042

理由で解く 柔道整復師

QJ26P042 一般臨床医学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問42
問題
50歳の女性。2か月前から四肢近位筋に対称性の筋力低下と筋肉痛があり、しゃがむと立ち上がることができない。両上眼瞼部に紫紅色の紅斑があり、手指関節、肘関節および膝関節の伸側に落屑を伴う紅斑を認める。関節腫脹はない。考えられる疾患はどれか。
選択肢
1 痛風
2 皮膚筋炎
3 関節リウマチ
4 変形性関節症
解答
正解2(皮膚筋炎)
解説

四肢近位筋の対称性の筋力低下に、両上眼瞼の紫紅色紅斑(ヘリオトロープ疹)と手指・肘・膝の伸側の落屑性紅斑(ゴットロン徴候)が加わっており、皮膚筋炎が考えられる。

皮膚筋炎は横紋筋と皮膚を標的とする自己免疫性の炎症性疾患で、筋症状と皮膚症状の組合せで診断に近づく。筋症状は体幹に近い筋、すなわち三角筋・上腕二頭筋・腸腰筋・大腿四頭筋などの近位筋が左右対称に侵されるのが特徴で、しゃがんだ姿勢から立ち上がれない、階段が上れない、髪を洗うために腕を挙げられない、といった訴えになる。本症例の「しゃがむと立ち上がることができない」はまさに大腿近位筋の筋力低下を示す所見である。皮膚症状のうち上眼瞼の浮腫性紫紅色紅斑をヘリオトロープ疹、手指の関節背面や肘・膝の伸側に生じる落屑を伴う紅斑をゴットロン徴候(丘疹を伴えばゴットロン丘疹)といい、いずれもこの疾患に特徴的である。関節リウマチと迷いやすい配置だが、本例では関節腫脹がないと明記されており、病変の主座が関節ではなく筋と皮膚にあることが読み取れる。血液検査ではCKやアルドラーゼの上昇、自己抗体の陽性がみられ、間質性肺炎の合併に注意が必要であり、成人発症例では悪性腫瘍の合併を検索することが求められる。したがって、こうした所見をとらえた場合は施術で経過をみるのではなく、速やかに医科(膠原病内科・皮膚科など)へ紹介し、診断と全身検索につなげる対応をとる。

✓ 2. 正しい
皮膚筋炎
2か月の経過で進む四肢近位筋の対称性筋力低下と筋肉痛、しゃがみ立ちの困難という筋症状に、ヘリオトロープ疹(両上眼瞼の紫紅色紅斑)とゴットロン徴候(手指関節・肘・膝の伸側の落屑性紅斑)という特徴的皮疹がそろっている。関節腫脹がない点も、病変の主座が筋と皮膚であることを支持する。
✗ 1. 誤り
痛風
尿酸ナトリウム結晶が関節内に析出して起こる急性の関節炎で、母趾の中足趾節関節に好発し、発赤・腫脹・熱感を伴う激しい単関節炎として突然発症する。数か月かけて進む対称性の近位筋筋力低下や、眼瞼・伸側の特徴的紅斑をきたす疾患ではない。
✗ 3. 誤り
関節リウマチ
手指のPIP関節・MP関節や手関節を中心とする対称性の多関節炎で、1時間以上続く朝のこわばりと関節の腫脹・圧痛が中心となる。本例は関節腫脹がなく、症状の主体が筋力低下と特徴的な皮疹であるため合致しない。
✗ 4. 誤り
変形性関節症
加齢や力学的負荷による関節軟骨の変性を基盤とし、膝・股などの荷重関節や手のDIP関節(Heberden結節)に生じる。動作開始時痛と可動域制限が主症状で、全身性の炎症所見や皮疹、対称性の近位筋筋力低下は伴わない。
ポイント
  • 皮膚筋炎=四肢近位筋の対称性筋力低下特徴的皮疹の組合せで見抜く。
  • ヘリオトロープ疹=両上眼瞼の浮腫性・紫紅色紅斑。ゴットロン徴候=手指関節背面や肘・膝伸側の落屑性紅斑。
  • 近位筋の筋力低下は「しゃがんで立てない」「階段が上れない」「腕が挙がらない」という訴えで現れる。
  • 本例は関節腫脹がないため関節疾患(関節リウマチ・痛風・変形性関節症)とは区別できる。
  • 間質性肺炎の合併に注意し、成人発症例では悪性腫瘍の検索が必要。疑ったら速やかに医科へ紹介する。
比較表
疾患病変の主座典型的な部位・経過皮膚所見本例との対応
皮膚筋炎筋と皮膚四肢近位筋の対称性筋力低下、亜急性の経過ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候合致する
痛風関節(結晶性)母趾MTP関節の急性単関節炎、突然発症関節部の発赤・腫脹(痛風結節)経過も分布も合わない
関節リウマチ滑膜手指PIP・MP関節などの対称性多関節炎、朝のこわばりリウマトイド結節関節腫脹がなく合わない
変形性関節症関節軟骨膝・股などの荷重関節、手のDIP関節、緩徐進行なし皮疹・筋力低下を説明できない
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