学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ26P042
理由で解く 柔道整復師
四肢近位筋の対称性の筋力低下に、両上眼瞼の紫紅色紅斑(ヘリオトロープ疹)と手指・肘・膝の伸側の落屑性紅斑(ゴットロン徴候)が加わっており、皮膚筋炎が考えられる。
皮膚筋炎は横紋筋と皮膚を標的とする自己免疫性の炎症性疾患で、筋症状と皮膚症状の組合せで診断に近づく。筋症状は体幹に近い筋、すなわち三角筋・上腕二頭筋・腸腰筋・大腿四頭筋などの近位筋が左右対称に侵されるのが特徴で、しゃがんだ姿勢から立ち上がれない、階段が上れない、髪を洗うために腕を挙げられない、といった訴えになる。本症例の「しゃがむと立ち上がることができない」はまさに大腿近位筋の筋力低下を示す所見である。皮膚症状のうち上眼瞼の浮腫性紫紅色紅斑をヘリオトロープ疹、手指の関節背面や肘・膝の伸側に生じる落屑を伴う紅斑をゴットロン徴候(丘疹を伴えばゴットロン丘疹)といい、いずれもこの疾患に特徴的である。関節リウマチと迷いやすい配置だが、本例では関節腫脹がないと明記されており、病変の主座が関節ではなく筋と皮膚にあることが読み取れる。血液検査ではCKやアルドラーゼの上昇、自己抗体の陽性がみられ、間質性肺炎の合併に注意が必要であり、成人発症例では悪性腫瘍の合併を検索することが求められる。したがって、こうした所見をとらえた場合は施術で経過をみるのではなく、速やかに医科(膠原病内科・皮膚科など)へ紹介し、診断と全身検索につなげる対応をとる。
| 疾患 | 病変の主座 | 典型的な部位・経過 | 皮膚所見 | 本例との対応 |
|---|---|---|---|---|
| 皮膚筋炎 | 筋と皮膚 | 四肢近位筋の対称性筋力低下、亜急性の経過 | ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候 | 合致する |
| 痛風 | 関節(結晶性) | 母趾MTP関節の急性単関節炎、突然発症 | 関節部の発赤・腫脹(痛風結節) | 経過も分布も合わない |
| 関節リウマチ | 滑膜 | 手指PIP・MP関節などの対称性多関節炎、朝のこわばり | リウマトイド結節 | 関節腫脹がなく合わない |
| 変形性関節症 | 関節軟骨 | 膝・股などの荷重関節、手のDIP関節、緩徐進行 | なし | 皮疹・筋力低下を説明できない |
解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。