学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ26P043
理由で解く 柔道整復師
安静時振戦・筋固縮・動きにくさ(無動/寡動)・姿勢反射障害は、パーキンソン病の四大徴候である。3年かけて緩徐に進行した歩行障害という経過も合致し、正解は 2 である。
パーキンソン病では、中脳黒質緻密部のドパミン作動性神経細胞が変性・脱落し、そこから線条体へ供給されるドパミンが減少する。ドパミンは大脳基底核のループで「運動を出しやすくする」向きに働くため、これが枯れると運動の始動と実行にブレーキがかかり、動作が小さく遅くなる(寡動・無動)。同時に、他動的に関節を動かすとカクカクと段階的な抵抗を感じる歯車様固縮が現れ、力を抜いた安静時に4〜6Hzの振戦(丸薬を丸めるような指の動き)が出る。ここに姿勢反射障害が加わると、前傾前屈姿勢・小刻み歩行・すくみ足・突進現象といった特徴的な歩行障害となり、本例のように歩行障害が主訴となる。神経細胞内にはα-シヌクレインを主成分とするレビー小体が出現し、症状は片側優位に始まって次第に両側へ広がるのが典型である。なお、同じ四徴候は薬剤性パーキンソニズム(抗精神病薬・制吐薬など)や、進行性核上性麻痺・多系統萎縮症といったパーキンソン症候群でも出そろうため、片側優位の発症・年単位の緩徐な進行・L-ドパへの良好な反応といった裏づけを合わせて診断する。重症度はホーエン・ヤール(Hoehn-Yahr)分類で表し、治療はL-ドパによるドパミン補充が中心となる。転倒リスクが高いため、施術では起立・方向転換時の介助と動線の環境整備を行い、主治医やリハビリテーション担当と連携して運動機能の維持を図ることが大切である。
| 疾患 | 主な障害部位・病理 | 中核症状 | 経過 |
|---|---|---|---|
| パーキンソン病 | 中脳黒質緻密部のドパミン神経/レビー小体 | 安静時振戦・固縮・無動・姿勢反射障害 | 年単位で緩徐に進行。片側優位に発症しL-ドパが奏効(本例に合致) |
| パーキンソン症候群(薬剤性・進行性核上性麻痺・多系統萎縮症など) | 薬剤によるドパミン遮断/黒質以外を含む多系統の変性 | 四徴候は同様に出そろうが、左右差に乏しい・早期からの転倒・眼球運動障害・自律神経障害などを伴う | 薬剤性は原因薬中止で改善、非定型例はL-ドパ反応に乏しく進行が速い |
| ハンチントン病 | 線条体(尾状核)/CAGリピート伸長・常染色体顕性遺伝 | 舞踏運動、性格変化、認知症 | 中年発症、緩徐進行だが「動きが増える」 |
| アルツハイマー病 | 大脳皮質・海馬/老人斑・神経原線維変化 | 近時記憶障害を中心とした認知症 | 緩徐進行、初期に運動症状は目立たない |
| クロイツフェルト・ヤコブ病 | 脳全般/異常プリオン蛋白 | 急速進行性認知症、ミオクローヌス、脳波の周期性同期性放電 | 数か月で無動性無言に至る急速な経過 |
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