学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §15 主要な疾患 血液疾患 / QJ26P037

理由で解く 柔道整復師

QJ26P037 一般臨床医学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問37
問題
神経障害が出現するのはどれか。
選択肢
1 溶血性貧血
2 鉄欠乏性貧血
3 再生不良性貧血
4 ビタミンB12欠乏性貧血
解答
正解4(ビタミンB12欠乏性貧血)
解説

神経障害が出現するのはビタミンB12欠乏性貧血である。B12は造血だけでなく髄鞘の維持にも必要なため、欠乏すると貧血と同時に脊髄・末梢神経の症状が現れる。

ビタミンB12は体内で2つの酵素の補酵素として働く。1つはメチオニン合成酵素で、葉酸と協調してDNA合成に関与し、これが滞ると赤芽球の核成熟が遅れて巨赤芽球性(大球性)貧血となる。もう1つはメチルマロニルCoAムターゼで、こちらが滞るとメチルマロン酸などが蓄積し、異常な脂肪酸が髄鞘に取り込まれて脱髄が起こる。脊髄では後索と側索が並んで侵されるため亜急性連合性脊髄変性症と呼ばれ、後索障害による振動覚・位置覚の低下とRomberg徴候陽性、側索障害による痙性歩行・腱反射亢進・Babinski徴候陽性がみられる。末梢神経障害による四肢のしびれ、Hunter舌炎(舌乳頭が萎縮して赤くつるつるになる)を伴うことも多い。原因は胃全摘後や、内因子・胃壁細胞に対する自己抗体による悪性貧血が代表的である。ここで押さえたいのは、同じ巨赤芽球性貧血でも葉酸欠乏では神経障害が出ないという点で、B12欠乏に葉酸だけを補うと貧血は改善しても神経症状が進むおそれがあるため、両者を区別して補充する必要がある。施術の場面では、手足のしびれや歩行のふらつきに深部感覚障害を伴う例を診たら、頸髄の病変だけでなくB12欠乏も念頭に置き、血液検査ができる医療機関への受診を勧めるのが適切な対応となる。

✓ 4. 正しい
ビタミンB12欠乏性貧血
B12欠乏では髄鞘の形成・維持が障害され、脊髄後索・側索が侵される亜急性連合性脊髄変性症をきたす。振動覚や位置覚の低下、Romberg徴候陽性、痙性歩行、四肢のしびれなどが現れ、貧血に神経障害を伴う点がこの疾患の最大の特徴である。
✗ 1. 誤り
溶血性貧血
赤血球の破壊が亢進して起こる貧血で、間接ビリルビン上昇による黄疸、脾腫、網赤血球増加、LDH上昇が特徴。赤血球の寿命短縮が本態であり、神経を侵す機序はない。
✗ 2. 誤り
鉄欠乏性貧血
ヘモグロビン合成に必要な鉄が不足して起こる小球性低色素性貧血。匙状爪(スプーンネイル)、異食症、Plummer-Vinson症候群による嚥下障害などがみられるが、脊髄や末梢神経の障害を主徴とはしない。
✗ 3. 誤り
再生不良性貧血
造血幹細胞の障害により骨髄が低形成となり、赤血球・白血球・血小板がそろって減る汎血球減少をきたす。貧血症状に加えて出血傾向と易感染性が前面に出るが、神経障害は生じない。
ポイント
  • 神経障害を伴う貧血といえばビタミンB12欠乏性貧血
  • 機序は髄鞘の障害。脊髄の後索と側索が侵される亜急性連合性脊髄変性症が典型。
  • 所見は振動覚・位置覚の低下、Romberg徴候陽性、痙性歩行、四肢のしびれ、Hunter舌炎。
  • 原因は胃全摘後や、内因子に対する自己抗体による悪性貧血など。大球性(巨赤芽球性)貧血となる。
  • 葉酸欠乏でも巨赤芽球性貧血になるが神経障害は出ない。両者の区別が鑑別の要点。
比較表
貧血の種類赤血球の大きさ主な原因神経障害特徴的所見
鉄欠乏性貧血小球性低色素性慢性出血、鉄の摂取不足なし匙状爪、異食症、嚥下障害
溶血性貧血正球性赤血球の破壊亢進なし黄疸、脾腫、網赤血球増加
再生不良性貧血正球性造血幹細胞の障害なし汎血球減少、出血傾向、易感染性
ビタミンB12欠乏性貧血大球性(巨赤芽球性)胃全摘後、内因子の欠乏(悪性貧血)ありHunter舌炎、亜急性連合性脊髄変性症
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