学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §15 主要な疾患 血液疾患 / QJ26P037
理由で解く 柔道整復師
神経障害が出現するのはビタミンB12欠乏性貧血である。B12は造血だけでなく髄鞘の維持にも必要なため、欠乏すると貧血と同時に脊髄・末梢神経の症状が現れる。
ビタミンB12は体内で2つの酵素の補酵素として働く。1つはメチオニン合成酵素で、葉酸と協調してDNA合成に関与し、これが滞ると赤芽球の核成熟が遅れて巨赤芽球性(大球性)貧血となる。もう1つはメチルマロニルCoAムターゼで、こちらが滞るとメチルマロン酸などが蓄積し、異常な脂肪酸が髄鞘に取り込まれて脱髄が起こる。脊髄では後索と側索が並んで侵されるため亜急性連合性脊髄変性症と呼ばれ、後索障害による振動覚・位置覚の低下とRomberg徴候陽性、側索障害による痙性歩行・腱反射亢進・Babinski徴候陽性がみられる。末梢神経障害による四肢のしびれ、Hunter舌炎(舌乳頭が萎縮して赤くつるつるになる)を伴うことも多い。原因は胃全摘後や、内因子・胃壁細胞に対する自己抗体による悪性貧血が代表的である。ここで押さえたいのは、同じ巨赤芽球性貧血でも葉酸欠乏では神経障害が出ないという点で、B12欠乏に葉酸だけを補うと貧血は改善しても神経症状が進むおそれがあるため、両者を区別して補充する必要がある。施術の場面では、手足のしびれや歩行のふらつきに深部感覚障害を伴う例を診たら、頸髄の病変だけでなくB12欠乏も念頭に置き、血液検査ができる医療機関への受診を勧めるのが適切な対応となる。
| 貧血の種類 | 赤血球の大きさ | 主な原因 | 神経障害 | 特徴的所見 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄欠乏性貧血 | 小球性低色素性 | 慢性出血、鉄の摂取不足 | なし | 匙状爪、異食症、嚥下障害 |
| 溶血性貧血 | 正球性 | 赤血球の破壊亢進 | なし | 黄疸、脾腫、網赤血球増加 |
| 再生不良性貧血 | 正球性 | 造血幹細胞の障害 | なし | 汎血球減少、出血傾向、易感染性 |
| ビタミンB12欠乏性貧血 | 大球性(巨赤芽球性) | 胃全摘後、内因子の欠乏(悪性貧血) | あり | Hunter舌炎、亜急性連合性脊髄変性症 |
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