学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §2 リハビリテーション医学の対象 / QJ26P014

理由で解く 柔道整復師

QJ26P014 リハビリテーション医学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問14
問題
国際障害分類(ICIDH)で能力低下はどれか。
選択肢
1 心臓の大動脈弁閉鎖不全のため心拍出量が落ちている。
2 変形性股関節症のため 500mの歩行ができない。
3 廃用のため独居の自宅へ退院できない。
4 認知機能低下のため発症前の仕事に復帰できない。
解答
正解2(変形性股関節症のため 500mの歩行ができない。)
解説

ICIDH(1980年、WHO)は障害を「機能・形態障害 → 能力低下 → 社会的不利」の3階層でとらえる。能力低下(disability)は、歩く・着替える・食べるといった個人レベルの活動ができなくなった状態を指す。

第1階層の機能・形態障害(impairment)は臓器・器官のレベルの異常で、麻痺、関節可動域制限、心拍出量の低下などが入る。第2階層の能力低下(disability)は、その結果として「人としての当たり前の活動」ができなくなった状態で、歩行・更衣・入浴・階段昇降などのADLレベルの話になる。第3階層の社会的不利(handicap)は、さらにその結果として職業・家庭・地域での役割を果たせなくなった状態で、復職できない、自宅へ帰れない、地域行事に参加できないといった内容が該当する。判別の手順は「今どのレベルの話をしているか」を見ることで、臓器の話なら機能・形態障害、その人の動作の話なら能力低下、社会的役割の話なら社会的不利と当てはめればよい。なおICIDHは2001年にICF(国際生活機能分類)へ改訂され、「心身機能・身体構造/活動/参加」という中立的で相互に影響し合う枠組みに置き換えられている。

✓ 2. 正しい
変形性股関節症のため 500mの歩行ができない。
「歩行」という個人レベルの活動ができないという記述なので、第2階層の能力低下にあたる。ICFでは「活動の制限」に対応する。
✗ 1. 誤り
心臓の大動脈弁閉鎖不全のため心拍出量が落ちている。
心臓という器官の働きが落ちているという記述で、第1階層の機能・形態障害にあたる。ICFでは「心身機能・身体構造」に対応する。
✗ 3. 誤り
廃用のため独居の自宅へ退院できない。
自宅で生活の場をもつという社会的な役割に関する記述で、第3階層の社会的不利にあたる。ICFでは「参加の制約」に対応し、住環境整備や介護サービスの導入といった環境側の調整が対応策になる。
✗ 4. 誤り
認知機能低下のため発症前の仕事に復帰できない。
職業上の役割を果たせないという記述なので第3階層の社会的不利。認知機能低下そのものは機能・形態障害だが、この文が述べているのは復職という社会的役割の部分である。
ポイント
  • ICIDH(1980)は 機能・形態障害 → 能力低下 → 社会的不利 の3階層。
  • 機能・形態障害=臓器レベル、能力低下=個人の活動レベル、社会的不利=社会的役割レベル。
  • 「歩けない・着替えられない」は能力低下、「復職できない・自宅に帰れない」は社会的不利。
  • 同じ疾患でも、文がどのレベルを述べているかで分類が変わる。文末に注目する。
  • 2001年にICFへ改訂され、心身機能・身体構造/活動/参加+環境因子・個人因子という枠組みになった。
比較表
ICIDH(1980)レベル本問での例ICF(2001)の対応
機能・形態障害(impairment)臓器・器官大動脈弁閉鎖不全による心拍出量の低下心身機能・身体構造
能力低下(disability)個人の活動500mの歩行ができない活動(活動の制限)
社会的不利(handicap)社会的役割自宅へ退院できない/発症前の仕事に復帰できない参加(参加の制約)
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