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理由で解く 柔道整復師

QJ26A111 衛生学・公衆衛生学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問111
問題
近年の我が国の母子保健の状況で正しいのはどれか。
選択肢
1 人工死産率は増加傾向が続いている。
2 周産期死亡率は一貫して低下している。
3 乳児死亡の原因は感染症によるものが多い。
4 幼児死亡の原因で最も多いのは心疾患である。
解答
正解2(周産期死亡率は一貫して低下している。)
解説

周産期死亡率は統計開始以来ほぼ一貫して低下し続けており、我が国は世界でも最も低い水準にある。

周産期死亡とは「妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡(生後1週未満)」を合わせたもので、出産千対で表す。ここで注意したいのは、この定義が平成7年(1995年)のICD-10適用に伴って改められたものだという点である。それ以前は「妊娠満28週以後の死産+早期新生児死亡」で数えており、数える範囲が広がった分だけ新定義のほうが高い値になるため、統計には平成7年に段差がある(同じ平成7年の値が旧定義で4.7、新定義で7.0)。推移をみるときは定義をそろえるのが原則で、旧定義でみれば昭和55年の20.2から平成7年の4.7へ、新定義でみれば平成7年の7.0から平成27年の3.7へと、どちらの定義で追っても低下が続いている。背景にあるのは母体管理の充実、NICUを備えた周産期母子医療センターの整備、新生児医療の進歩である。乳児死亡率(出生千対)も約2と世界最低水準である。数が減っただけでなく死因の中身も変わり、かつて上位を占めた肺炎・腸炎などの感染症は激減して、現在は先天奇形・変形および染色体異常や周産期に特異的な病態が中心となっている。母子保健の指標は「率は下がり、死因は感染症から先天的要因へ」という2軸で押さえる。

✓ 2. 正しい
周産期死亡率は一貫して低下している。
妊娠満22週以後の死産と早期新生児死亡を合わせた指標で、母体管理・周産期医療体制の整備により長期にわたり低下を続け、国際的にも最低水準にある。平成7年に定義が満28週以後から満22週以後へ変わったため統計に段差があるが、旧定義・新定義のいずれで追っても低下傾向であることに変わりはない。
✗ 1. 誤り
人工死産率は増加傾向が続いている。
人工死産率は昭和60年前後をピークに低下し、近年は横ばいから緩やかな低下で推移している。死産率は自然死産・人工死産とも長期的には低下傾向であり、「増加傾向が続く」には当たらない。
✗ 3. 誤り
乳児死亡の原因は感染症によるものが多い。
乳児死亡の死因は第1位が先天奇形・変形および染色体異常で、次いで周産期に特異的な呼吸障害等、不慮の事故、乳幼児突然死症候群が並ぶ。感染症が主因だったのは戦後まもない時期までで、現在は上位ではない。
✗ 4. 誤り
幼児死亡の原因で最も多いのは心疾患である。
1〜4歳の死因は先天奇形・変形および染色体異常、不慮の事故、悪性新生物が上位を占める。心疾患は最多ではない。幼児期は不慮の事故(窒息・溺水・交通事故)の比重が大きく、環境整備と見守りが予防の中心となる。
ポイント
  • 周産期死亡=妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡(生後1週未満)。出産千対で表す。
  • この定義は平成7年のICD-10適用時に満28週以後から満22週以後へ変更された。統計に段差があるので、推移は定義をそろえて読む(平成7年:旧定義4.7/新定義7.0)。
  • 周産期死亡率・乳児死亡率とも長期に低下し、日本は世界最低水準。
  • 乳児死亡の第1位は先天奇形・変形および染色体異常。感染症は現在では上位ではない。
  • 1〜4歳の死因上位は先天奇形等・不慮の事故・悪性新生物。不慮の事故対策が実務上の要。
  • 死産率は自然死産・人工死産とも長期低下傾向。「増加が続く」という選択肢はまず疑う。
比較表
指標対象となる死亡分母
死産妊娠満12週以後の死児の出産(自然+人工)出産千対
周産期死亡妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡(平成7年以降の定義。それ以前は満28週以後の死産で計上)出産千対(出生+妊娠満22週以後の死産)
早期新生児死亡生後1週未満の死亡出生千対
新生児死亡生後4週未満の死亡出生千対
乳児死亡生後1年未満の死亡出生千対
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