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理由で解く 柔道整復師

QJ26A112 衛生学・公衆衛生学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問112
問題
学校保健安全法に定められていないのはどれか。
選択肢
1 3歳児健康診査
2 就学時健康診断
3 学校職員の健康診断
4 幼稚園児の定期健康診断
解答
正解1(3歳児健康診査)
解説

3歳児健康診査は母子保健法に基づいて市町村が行う乳幼児健診であり、学校保健安全法には規定がない。したがって「定められていないもの」は1である。

学校保健安全法は、学校に在籍する者と学校で働く職員の健康・安全を守るための法律で、健康診断については大きく3つの場面が定められている。就学時の健康診断(法第11条。実施主体は市町村の教育委員会。時期は学校保健安全法施行令第1条で、翌学年の初めから4か月前まで、就学に関する手続の実施に支障がない場合は3か月前まで)、児童生徒等の健康診断(法第13条。実施主体は学校。定期健診の時期は同法施行規則第5条で毎学年6月30日まで。必要があるときは臨時にも実施)、そして職員の健康診断(法第15条。実施主体は学校の設置者。時期は同法施行規則第12条で、学校の設置者が定める適切な時期)である。ここで注意したいのは、実施の「時期」を定めているのは法本体ではなく政令(施行令)と省令(施行規則)だという点で、法・政令・省令のどこに書いてあるかを問う出題があるため区別して覚えたい。また、ここでいう「学校」は学校教育法第1条に定める学校を指し、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学などが含まれるため、幼稚園児も第13条の定期健康診断の対象となる。一方、母子保健法は在籍の有無ではなく年齢で対象を定める別系統の制度で、1歳6か月児健康診査と3歳児健康診査(いずれも第12条)を市町村の実施義務として規定している。この種の問題は、①学校教育法第1条の学校に在籍しているか、②就学の手続きに関わる健診か、の2点で仕分けるとよい。どちらかに当たれば学校保健安全法、どちらにも当たらない乳幼児なら母子保健法、労働者なら労働安全衛生法、と根拠法を振り分けて判断する。

✓ 1. これが答え(学校保健安全法に定められていない)
3歳児健康診査
母子保健法第12条に基づき、市町村が満3歳を超え満4歳に達しない幼児に対して行う健診である。3歳児健康診査は在籍の有無を問わず、その年齢のすべての幼児に対して市町村が行う母子保健法上の事業であり、学校を単位として在籍者に行う学校保健安全法の健診とは制度の系統が別である。したがって幼稚園に通う3歳児は、母子保健法の3歳児健康診査と学校保健安全法第13条の定期健康診断の両方の対象になる(選択肢4と矛盾しない)。内容は身体発育・栄養状態のほか、視聴覚や言語発達、う蝕の有無などを診て、必要に応じて療育・保健指導につなぐことが目的である。同じく母子保健法に基づく1歳6か月児健康診査とセットで覚えておきたい。
✗ 2. 学校保健安全法に定められている(答えではない)
就学時健康診断
対象は就学前の幼児だが、就学に向けた手続きの一環なので学校保健安全法側に入る。ここが最大の引っかけどころである。根拠は学校保健安全法第11条で、翌年度に小学校へ入学する子どもを対象に、市町村の教育委員会が学齢簿の作成後に実施する。時期を定めているのは法本体ではなく学校保健安全法施行令第1条で、翌学年の初めから4か月前まで(就学に関する手続の実施に支障がない場合は3か月前まで)とされている。結果に基づいて治療の勧告や保健上必要な助言を行い、必要なら就学義務の猶予・免除や特別支援学校への就学に関する指導につなげる。実施主体が「学校」ではなく「市町村の教育委員会」である点が他の健診と異なるので、そこを狙って問われやすい。
✗ 3. 学校保健安全法に定められている(答えではない)
学校職員の健康診断
学校保健安全法第15条に定められ、学校の設置者が毎学年定期に、また必要があるときは臨時に実施する(定期の時期は同法施行規則第12条により、学校の設置者が定める適切な時期)。教職員自身の健康管理に加え、結核などの感染症を児童生徒に広げないという学校保健上の意味をもつ。第16条では、その結果に基づいて治療を指示し勤務を軽減するなどの事後措置をとることまで規定されている。
✗ 4. 学校保健安全法に定められている(答えではない)
幼稚園児の定期健康診断
幼稚園は学校教育法第1条に掲げられた「学校」であり、そこに通う幼児は学校保健安全法第13条の「児童生徒等」に含まれる。したがって毎学年定期の健康診断(時期は同法施行規則第5条により毎学年6月30日まで)の対象となる。「幼児だから母子保健法では」と迷いやすいが、判断の分かれ目は年齢そのものではなく、①学校教育法第1条の学校に在籍しているか、②就学の手続きに関わる健診か、の2点である。また両制度は排他的ではなく、母子保健法の3歳児健康診査は年齢で対象が決まる別系統の事業なので、幼稚園に通う3歳児は両方の対象となる。保育所は児童福祉法の施設で学校教育法第1条の学校ではないため、保育所児は学校保健安全法第13条の対象外という対比も合わせて押さえておくとよい。
ポイント
  • 学校保健安全法が定める健康診断は3種類。就学時(法第11条)/児童生徒等の定期・臨時(法第13条)/職員(法第15条)。
  • 仕分けの物差しは、①学校教育法第1条の学校に在籍しているか、②就学の手続きに関わる健診か。どちらかに当たれば学校保健安全法、どちらにも当たらない乳幼児なら母子保健法、労働者なら労働安全衛生法。就学時健康診断は対象が就学前の幼児でも②に当たるため学校保健安全法側である(本問最大の引っかけどころ)。
  • 3歳児健康診査と1歳6か月児健康診査は母子保健法第12条に基づき市町村が実施する。在籍の有無を問わず年齢で対象を定める別系統の事業なので、幼稚園に在籍する3歳児は学校保健安全法の定期健康診断と両方の対象になる。
  • 幼稚園は学校教育法第1条の「学校」。幼稚園児も定期健康診断の対象になる(保育所は児童福祉法の施設で対象外)。
  • 実施主体を区別する。就学時健康診断=市町村の教育委員会、児童生徒等の定期健康診断=学校、職員の健康診断=学校の設置者。
  • 時期を決めているのは法本体ではなく政令・省令。就学時=施行令第1条(翌学年の初めから4か月前まで、就学に関する手続の実施に支障がない場合は3か月前まで)、児童生徒等の定期=施行規則第5条(毎学年6月30日まで)、職員=施行規則第12条(設置者が定める適切な時期)。
比較表
健康診断の根拠法と条文の階層(法本体/施行令/施行規則)
健康診断根拠法・条文の階層実施主体対象・時期
1歳6か月児・3歳児健康診査母子保健法 第12条市町村満1歳6か月〜2歳未満/満3歳〜4歳未満の幼児(在籍の有無を問わない)
就学時の健康診断学校保健安全法 第11条(時期は施行令第1条)市町村の教育委員会翌年度就学予定者/翌学年の初めから4か月前まで(就学に関する手続の実施に支障がない場合は3か月前まで)
児童生徒等の健康診断(幼稚園児を含む)学校保健安全法 第13条(時期は施行規則第5条)学校在学者/毎学年6月30日まで(必要時は臨時)
職員の健康診断学校保健安全法 第15条(時期は施行規則第12条)学校の設置者学校職員/毎学年定期、設置者が定める適切な時期(必要時は臨時)
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