学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ26A101

理由で解く 柔道整復師

QJ26A101 病理学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問101
問題
浮腫の成因と発生機序の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 低アルブミン血症による浮腫-血漿膠質浸透圧の低下
2 乳癌術後の患側肢の浮腫-リンパ管の閉塞
3 心不全による浮腫-毛細血管内圧の上昇
4 ネフローゼ症候群による浮腫-- 血管透過性の亢進
解答
正解4(ネフローゼ症候群による浮腫-- 血管透過性の亢進)
解説

ネフローゼ症候群の浮腫は、大量の蛋白尿によって低アルブミン血症となり、血漿膠質浸透圧が下がることで生じる。血管透過性の亢進との組合せは成り立たないので、誤っているのは4である。

浮腫は間質に水がたまった状態で、毛細血管で水が出入りする力関係(スターリングの法則)とリンパによる排水で説明できる。押し出す力が毛細血管内圧、引き戻す力が血漿膠質浸透圧(主にアルブミンが担う)で、これに血管透過性リンパの流れが加わる。したがって浮腫の成因は、①毛細血管内圧の上昇(心不全、静脈血栓、静脈瘤)、②血漿膠質浸透圧の低下(ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養)、③血管透過性の亢進(炎症、アレルギー、熱傷)、④リンパ管の閉塞(乳癌術後のリンパ節郭清、フィラリア症)、の四つに整理できる。ネフローゼ症候群では糸球体基底膜の障害でアルブミンが尿へ大量に漏れ、高度蛋白尿・低蛋白(低アルブミン)血症・高度浮腫・脂質異常症をきたす。ここでいう「血管透過性の亢進」は全身の毛細血管の透過性を指すもので、炎症性浮腫の機序であり、ネフローゼの説明としては当てはまらない。なお炎症性浮腫では蛋白に富む滲出液が、心不全や低アルブミン血症では蛋白の少ない漏出液がたまるという違いもおさえておきたい。

✓ 4. これが答え(組合せが成り立たない)
ネフローゼ症候群による浮腫-- 血管透過性の亢進
ネフローゼ症候群の浮腫は、糸球体からのアルブミン喪失による血漿膠質浸透圧の低下で起こる。全身の毛細血管の透過性が高まっているわけではないので、この組合せは成り立たない。眼瞼や下腿から始まる全身性の浮腫が典型である。
✗ 1. 組合せは正しい(答えではない)
低アルブミン血症による浮腫-血漿膠質浸透圧の低下
アルブミンは血漿膠質浸透圧の大半を担う蛋白で、これが減ると毛細血管に水を引き戻す力が弱まって間質に水がたまる。肝硬変(合成低下)、ネフローゼ症候群(喪失)、低栄養(材料不足)が代表的な背景である。
✗ 2. 組合せは正しい(答えではない)
乳癌術後の患側肢の浮腫-リンパ管の閉塞
腋窩リンパ節郭清によって上肢からのリンパの流れ道が断たれ、患側上肢にリンパ浮腫が生じる。慢性化すると皮下組織が線維化して硬くなる。患側での強い圧迫や過度の負荷を避け、圧迫療法やリンパドレナージなど主治医の指示に沿った管理につなげる。
✗ 3. 組合せは正しい(答えではない)
心不全による浮腫-毛細血管内圧の上昇
右心不全では静脈系にうっ血が生じ、毛細血管内圧が上がって下腿や足背に圧痕性浮腫が現れる。左心不全では肺うっ血から肺水腫となる。うっ血に加え、腎血流低下によるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の活性化でナトリウムと水がたまることも浮腫を強める。
ポイント
  • 浮腫の四つの成因:①毛細血管内圧の上昇 ②血漿膠質浸透圧の低下 ③血管透過性の亢進 ④リンパ管の閉塞
  • ネフローゼ症候群=高度蛋白尿・低アルブミン血症・浮腫・脂質異常症。浮腫の機序は
  • 血管透過性の亢進は炎症・アレルギー・熱傷の浮腫。蛋白に富む滲出液がたまる。
  • 心不全・肝硬変・低栄養の浮腫は蛋白の少ない漏出液
  • 乳癌術後の患側上肢はリンパ浮腫のリスク。強い圧迫や過負荷を避け、主治医の管理方針に沿う。
比較表
機序代表疾患・状況たまる液分布
毛細血管内圧の上昇心不全、静脈血栓症、門脈圧亢進漏出液下腿・足背(全身性)、腹水
血漿膠質浸透圧の低下ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養漏出液眼瞼・下腿から全身へ
血管透過性の亢進炎症、アレルギー(蕁麻疹)、熱傷滲出液局所(発赤・熱感を伴う)
リンパ管の閉塞乳癌術後の腋窩郭清、フィラリア症リンパ液患側の一肢に限局
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