学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ26A100

理由で解く 柔道整復師

QJ26A100 病理学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問100
問題
血小板減少の原因となるのはどれか。
選択肢
1 ビタミンCの不足
2 ビタミンKの不足
3 放射線の大量被曝
4 血液凝固因子の不足
解答
正解3(放射線の大量被曝)
解説

放射線の大量被曝は骨髄の造血幹細胞を傷害し、血小板のもとになる巨核球が減るために血小板が作られなくなる。血小板そのものが減る原因は3である。

出血傾向の原因は「血管の問題」「血小板の問題」「凝固因子の問題」の三つの箱に仕分けると整理できる。この設問は二番目の箱、しかも血小板のが減るものを選ぶ問いである。骨髄は腸上皮・生殖腺と並んで放射線感受性が高い組織で、分裂の盛んな造血幹細胞が真っ先に傷害される。被曝後はまずリンパ球が急減し、続いて好中球、さらに血小板が減り、寿命の長い赤血球(約120日)の減少は遅れて現れる。血小板の寿命は約8〜10日なので、被曝後1〜2週で減少がはっきりし、皮膚の点状出血や粘膜出血が生じる。同じ機序で骨髄が抑制される原因として、抗癌薬、再生不良性貧血、白血病細胞による骨髄占拠がある。ほかに血小板が減る機序としては、破壊が亢進する特発性血小板減少性紫斑病、消費される播種性血管内凝固症候群、脾機能亢進による捕捉がある。血小板減少がある人では、軽い外力でも皮下出血が広がりやすいため、強い揉捏や急な圧迫を避け、あざの広がりや止血の遅れに気づいたら医療機関の受診を促す。

✓ 3. 正しい
放射線の大量被曝
分裂が盛んな造血幹細胞が傷害され、骨髄の産生障害によって血小板が減少する。リンパ球・好中球も減るため、出血傾向と易感染性が同時に現れるのが急性放射線障害の骨髄型の特徴である。
✗ 1. 誤り
ビタミンCの不足
ビタミンCはコラーゲン合成でプロリン・リジンを水酸化する反応に必要で、不足すると血管壁を支える結合組織がもろくなる。これが壊血病で、歯肉出血や点状出血が起こるが、原因は血管側であり血小板数は正常である。
✗ 2. 誤り
ビタミンKの不足
ビタミンKは肝臓でプロトロンビン(第Ⅱ因子)と第Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子を活性型にするのに必要である。不足するとプロトロンビン時間が延長し、新生児メレナや抗凝固薬(ワルファリン)使用時の出血傾向をきたすが、これは凝固因子側の問題で血小板数は減らない。
✗ 4. 誤り
血液凝固因子の不足
血友病などがこれにあたり、フィブリンの網を作る二次止血が障害される。関節内出血や筋肉内出血といった深部の出血が特徴で、血小板による一次止血は保たれるため出血時間・血小板数は正常である。
ポイント
  • 出血傾向は血管・血小板・凝固因子の三つに仕分けて考える。
  • 放射線大量被曝=骨髄抑制。リンパ球→好中球→血小板→赤血球の順に減少が現れる。
  • 血小板減少の主な機序:産生低下(放射線・抗癌薬・再生不良性貧血・白血病)、破壊亢進(特発性血小板減少性紫斑病)、消費(播種性血管内凝固症候群)、脾での捕捉。
  • ビタミンC欠乏=壊血病(血管がもろい)、ビタミンK欠乏=凝固因子Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹの活性化障害。いずれも血小板数は正常。
  • 血小板減少があれば強い圧迫や揉捏を避け、皮下出血の拡大に気づいたら受診を勧める。
比較表
障害される場所代表原因血小板数出血の特徴
血管壁ビタミンC欠乏(壊血病)、アレルギー性紫斑病、老人性紫斑正常点状出血、歯肉出血
血小板放射線大量被曝、抗癌薬、特発性血小板減少性紫斑病低下点状出血、鼻出血、粘膜出血
凝固因子血友病、ビタミンK欠乏、肝硬変正常関節内・筋肉内出血、止血後の再出血
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