学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ27A101

理由で解く 柔道整復師

QJ27A101 病理学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問101
問題
門脈圧亢進に続発する徴候で誤っているのはどれか。
選択肢
1 腹水
2 脾腫
3 肝硬変
4 食道静脈瘤
解答
正解3(肝硬変)
解説

この問題は「続発する徴候として当てはまらないもの」を選びます。肝硬変は門脈圧亢進を引き起こす原因側であって、門脈圧亢進の結果として現れる徴候ではないため、これが答えです。

門脈は消化管と脾臓からの静脈血を集めて肝臓へ運ぶ血管です。肝硬変では再生結節と線維化によって肝内の血管抵抗が増し、門脈の圧が上がります。すると上流側に血液がうっ滞して脾腫が起こり、静水圧上昇と低アルブミン血症が重なって腹水がたまります。さらに行き場を失った血液は門脈と大循環をつなぐ側副血行路へ逃げ、食道・胃噴門部の粘膜下静脈が拡張して食道静脈瘤を、臍周囲でメデューサの頭を、直腸下部で痔核を形成します。因果の向きを「肝硬変 → 門脈圧亢進 → 腹水・脾腫・側副血行路」と一直線に並べておけば、原因と結果を取り違えずに済みます。

✓ 3. これが答え(続発する徴候ではない)
肝硬変
肝硬変は門脈圧亢進の原因側です。慢性肝炎などを背景に肝細胞の壊死と再生、線維化が進んで再生結節が形成されると、肝内の類洞が圧迫されて血管抵抗が上昇し、その結果として門脈圧が高まります。因果関係が逆向きであるため、続発する徴候には当たりません。
✗ 1. 答えではない(続発する徴候として正しい)
腹水
門脈圧亢進により腸間膜の毛細血管静水圧が上がって血漿成分が腹腔へ漏出し、加えて肝でのアルブミン合成低下による膠質浸透圧の低下、二次性アルドステロン症によるナトリウム・水の貯留が重なって腹水がたまります。まさに門脈圧亢進に続発する代表的徴候です。
✗ 2. 答えではない(続発する徴候として正しい)
脾腫
脾静脈は門脈へ合流するため、門脈圧が上がると脾臓にうっ血が生じて腫大します。腫大した脾臓では血球の破壊が亢進し(脾機能亢進症)、血小板減少・白血球減少・貧血をきたします。門脈圧亢進の上流側に現れる典型的な結果です。
✗ 4. 答えではない(続発する徴候として正しい)
食道静脈瘤
肝を通れなくなった門脈血が、門脈と大循環をつなぐ側副血行路へ流れ込むことで生じます。食道下部から胃噴門部の粘膜下静脈が怒張し、破裂すると大量吐血をきたす危険な合併症です。同じ機序による側副血行路として臍周囲のメデューサの頭、直腸下部の痔核も押さえておきましょう。
ポイント
  • 因果の向きは「肝硬変 → 門脈圧亢進 → 腹水・脾腫・側副血行路」。原因と結果を取り違えないことが本問のねらい。
  • 門脈圧亢進の四大徴候:腹水、脾腫(脾機能亢進)、側副血行路の発達、肝性脳症。
  • 側副血行路の3か所:食道・胃噴門部の静脈瘤、臍周囲のメデューサの頭、直腸下部の痔核。
  • 腹水は静水圧上昇だけでなく、低アルブミン血症とナトリウム・水貯留が加わって成立する。
  • 脾機能亢進により血小板減少が起こり、肝での凝固因子合成低下と相まって出血傾向が強まる。
比較表
因果の位置該当するもの成立の仕組み
原因(上流)肝硬変再生結節と線維化で肝内血管抵抗が上昇し門脈圧が上がる
結果(下流)腹水静水圧上昇+低アルブミン血症+ナトリウム・水貯留
結果(下流)脾腫脾静脈のうっ血。脾機能亢進で血球減少をきたす
結果(下流)食道静脈瘤側副血行路の発達。破裂で大量吐血の危険
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