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理由で解く 柔道整復師

QJ27A102 病理学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問102
問題
静脈血栓塞栓症における塞栓部位はどれか。
選択肢
1 門脈
2 腎静脈
3 冠状動脈
4 肺動脈
解答
正解4(肺動脈)
解説

静脈血栓塞栓症では、下肢や骨盤内の深部静脈にできた血栓がはがれて血流に乗り、下大静脈から右心を通って肺動脈に詰まります。したがって塞栓部位は肺動脈です。

塞栓症は「血栓ができた場所」ではなく「血流がどこへ運ぶか」で行き先が決まります。静脈系の血栓は、下肢深部静脈 → 腸骨静脈 → 下大静脈 → 右心房 → 右心室 → 肺動脈という一本道をたどり、血管が枝分かれして細くなる肺動脈で嵌入します。これが肺血栓塞栓症で、深部静脈血栓症とあわせて静脈血栓塞栓症と呼ばれます。長時間の臥床や座位、ギプス固定、手術後などで下肢の静脈還流が滞ると発症しやすく、いわゆるエコノミークラス症候群がこれにあたります。柔道整復の現場でも下肢の固定や長期安静を扱う機会があるため、こまめな足関節の底背屈運動、可能な範囲での早期離床、水分摂取の励行を指導し、急な呼吸困難や胸痛を訴えた場合はただちに医療機関へつなぐ体制を整えておきましょう。

✓ 4. 正しい
肺動脈
静脈血栓が流れ着く最終地点です。下肢や骨盤内の深部静脈で形成された血栓は、下大静脈から右心を経て肺動脈へ運ばれ、分岐して内腔が狭くなるところで嵌入します。大きな血栓が両側主肺動脈を閉塞すると急激な右心不全とショックをきたし、突然死の原因となります。
✗ 1. 誤り
門脈
門脈は消化管と脾臓の静脈血を集めて肝臓へ注ぐ特殊な静脈系で、下大静脈から肺へ向かう本流とは別のルートです。門脈血栓症は肝硬変や腹腔内感染、腫瘍などを背景に門脈内で血栓が形成される病態であり、下肢から流れてきた塞栓が到達する場所ではありません。
✗ 2. 誤り
腎静脈
腎静脈は腎から下大静脈へ血液を送り出す側の血管なので、上流から流れてきた塞栓が入り込む向きにはありません。ネフローゼ症候群などでみられる腎静脈血栓症は、その場で血栓が形成される血栓症であって、他所から運ばれた塞栓による閉塞ではない点を区別しましょう。
✗ 3. 誤り
冠状動脈
冠状動脈は大動脈起始部から最初に分岐する動脈です。ここに詰まる塞栓は心房細動時の左房内血栓や感染性心内膜炎の疣贅など、上流にあたる左心系に由来し、大動脈を経て流れ込みます。静脈血栓が動脈系へ回るには卵円孔開存などの右左シャントを介する奇異性塞栓が必要で、例外的な経路です。
ポイント
  • 塞栓の行き先は血流をたどれば分かる。静脈血栓は下大静脈 → 右心 → 肺動脈へ。
  • 静脈血栓塞栓症=深部静脈血栓症+肺血栓塞栓症。エコノミークラス症候群がその典型。
  • 危険因子はウィルヒョウの三徴(血流の停滞・血管内皮の傷害・血液凝固能の亢進)で整理する。
  • 動脈系の塞栓(脳・冠状動脈・腎・脾・下肢動脈)は上流の左心系または大動脈に由来する。奇異性塞栓は右左シャントがある場合の例外。
  • 固定や長期安静を扱う際は、足関節の運動・早期離床・水分摂取を促し、突然の呼吸困難や胸痛では速やかに医療機関へつなぐ。
比較表
塞栓の由来たどる経路詰まる場所
下肢・骨盤内の深部静脈下大静脈 → 右心房 → 右心室肺動脈(肺血栓塞栓症)
左心系(左房内血栓・疣贅)左心室 → 大動脈脳動脈、冠状動脈、腎・脾動脈、下肢動脈
静脈血栓+右左シャント右心 → 卵円孔など → 左心動脈系(奇異性塞栓。例外的経路)
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