学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §6 進行性病変 / QJ26A102

理由で解く 柔道整復師

QJ26A102 病理学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問102
問題
皮膚の創傷治癒過程において血餅の下層にみられるのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 扁平上皮化生
2 線維芽細胞増生
3 毛細血管新生
4 乾酪壊死
解答
正解2(線維芽細胞増生)、3(毛細血管新生)
解説

創面をふさぐ血餅(かさぶた)の下では、修復のための肉芽組織が作られる。肉芽組織の主役は線維芽細胞の増生毛細血管の新生であり、正解は2と3である。

皮膚の創傷治癒は時間の流れで追うと理解しやすい。受傷直後は出血し、血小板の凝集と凝固によって血餅ができ、表面が乾いて痂皮(かさぶた)となって創を保護する。次いで24時間以内に好中球が、2〜3日でマクロファージが集まり、壊死組織や細菌を貪食しながら血管内皮増殖因子や線維芽細胞増殖因子などの成長因子を放出する。これに応じて創底では毛細血管が芽を出して伸び、線維芽細胞が増えてコラーゲンを産生する。この赤くやわらかく出血しやすい組織が肉芽組織である。同時に、創縁の表皮基底細胞が分裂しながら血餅の下を這うように移動して欠損部を覆い、上皮が再生する。その後の数週間から数か月で、コラーゲンは太く成熟して整列し、細胞成分と血管が減って白く硬い瘢痕へ置き換わる。創縁が接している場合を一次治癒、組織欠損が大きく多量の肉芽で埋める場合を二次治癒と呼び、後者では瘢痕が大きくなる。感染や異物、栄養不良、糖尿病、局所の血流障害は治癒を遅らせる要因なので、創部の清潔保持と全身状態の管理を並行して行う。

✓ 2. 正しい
線維芽細胞増生
マクロファージが放出する成長因子に反応して線維芽細胞が増殖し、コラーゲンをはじめとする細胞外基質を産生する。これが肉芽組織の骨格となり、やがて瘢痕組織へ成熟して創の強度を生む。
✓ 3. 正しい
毛細血管新生
修復に必要な酸素と栄養を運ぶため、創底の既存の毛細血管から内皮細胞が芽を出して新しい血管が伸びる。肉芽組織が鮮紅色で出血しやすいのはこのためである。
✗ 1. 誤り
扁平上皮化生
化生とは、分化を終えた組織が別の種類の成熟組織に置き換わる現象で、喫煙などの慢性刺激により気管支の線毛円柱上皮が重層扁平上皮に変わるのが代表例である。創傷治癒でみられる表皮の被覆は、元と同じ重層扁平上皮が増えて欠損を覆う再生であって、化生ではない。
✗ 4. 誤り
乾酪壊死
結核結節の中心にみられるチーズ様の壊死で、結核菌に対する細胞性免疫反応の結果として生じる。通常の創傷治癒の過程には現れない。
ポイント
  • 肉芽組織の三要素は線維芽細胞・新生毛細血管・炎症細胞(主にマクロファージ)
  • 治癒の流れ:出血・血餅 → 好中球(〜24時間)→ マクロファージ(2〜3日)→ 肉芽組織(数日〜)→ 上皮再生 → 瘢痕(数週〜)。
  • 再生(同じ組織で置き換わる)と化生(別種の成熟組織に変わる)は別物。
  • 「肉芽組織」(修復組織)と「肉芽腫」(類上皮細胞の結節)は名前が似ているだけで別物。
  • 治癒を遅らせる要因:感染、異物、血流障害、糖尿病、低栄養、ステロイド薬。創の清潔と全身管理が対策。
比較表
時期主役の細胞・現象創面の様子
受傷直後〜数時間血小板凝集・凝固 → 血餅形成出血が止まり痂皮ができる
〜24時間好中球の遊走(異物・細菌の処理)発赤・腫脹(炎症期)
2〜3日マクロファージ、成長因子の放出壊死物の除去が進む
3日〜数週線維芽細胞増生+毛細血管新生=肉芽組織/表皮の再生血餅の下が鮮紅色でやわらかい
数週〜数か月コラーゲンの成熟、細胞・血管の減少白く硬い瘢痕に置き換わる
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。