学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §6 進行性病変 / QJ28A124

理由で解く 柔道整復師

QJ28A124 病理学概論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問124
問題
化生はどれか。
選択肢
1 トレーニングによって骨格筋の筋細胞の容積が増大した。
2 エストロゲンの作用によって乳腺組織が増大した。
3 進行性筋ジストロフィーで下肢遠位筋組織内に脂肪が増えた。
4 気管支粘膜の慢性炎症によって扁平上皮への置換が起こった。
解答
正解4(気管支粘膜の慢性炎症によって扁平上皮への置換が起こった。)
解説

化生とは、いったん分化した組織が別の系統の分化した組織に置き換わることです。気管支の線毛円柱上皮が慢性の刺激で扁平上皮に変わるのは、その代表例(扁平上皮化生)です。

細胞・組織の適応の用語は、何が変わったかで切り分けると混同しません。肥大は1個1個の細胞の容積が増えること、過形成は細胞の数が増えること、萎縮はいったん発達した組織が縮むこと、そして化生は細胞の「種類」が別の分化系統に置き換わることです。化生は多くの場合、慢性の刺激や炎症に対してより丈夫な組織へ置き換わる適応反応で、喫煙者の気管支にみられる扁平上皮化生、胃酸の逆流で食道下部が円柱上皮に変わるバレット食道が典型です。ただし化生を起こした粘膜は本来の機能(気道なら線毛による異物排除)を失い、癌化の母地にもなり得るため、原因となる刺激を取り除くことが対策の基本になります。

✓ 4. 正しい
気管支粘膜の慢性炎症によって扁平上皮への置換が起こった。
本来の線毛円柱上皮が、慢性の刺激(喫煙や慢性炎症)に耐えられる扁平上皮に置き換わったもので、まさに扁平上皮化生です。細胞の大きさや数ではなく種類が変わっている点が、化生の決め手になります。
✗ 1. 誤り
トレーニングによって骨格筋の筋細胞の容積が増大した。
細胞の数は変わらず1個あたりの容積が増えているので、これは肥大です。骨格筋細胞は再生・分裂しにくいため、負荷への適応は主に肥大として現れます。
✗ 2. 誤り
エストロゲンの作用によって乳腺組織が増大した。
ホルモン刺激により乳腺の腺上皮細胞が増殖して数が増えたもので、過形成(ホルモン性過形成)にあたります。組織の種類が別系統に置き換わってはいません。
✗ 3. 誤り
進行性筋ジストロフィーで下肢遠位筋組織内に脂肪が増えた。
変性・壊死した筋線維が失われた場所を脂肪組織や線維組織が埋めた置換(筋萎縮に伴う脂肪置換)で、見かけ上太くなる仮性肥大として知られます。筋細胞そのものが脂肪細胞に分化転換したわけではないため、化生とは呼びません。
ポイント
  • 化生=分化した組織が別系統の分化した組織に置き換わる。気管支の扁平上皮化生、バレット食道(円柱上皮化生)が代表。
  • 肥大=細胞の容積が増える(筋トレによる骨格筋、高血圧による心肥大)。
  • 過形成=細胞の数が増える(エストロゲンによる乳腺、前立腺肥大症)。
  • 筋ジストロフィーの脂肪置換は萎縮した筋の間隙を脂肪が埋めたもので、化生ではない(仮性肥大)。
  • 化生した粘膜は本来の機能を失い癌化の母地にもなるため、喫煙など原因刺激を取り除くことが基本対策。
比較表
用語何が変わるか
肥大細胞1個の容積が増える骨格筋のトレーニング効果、心肥大
過形成細胞の数が増えるエストロゲンによる乳腺、前立腺肥大症
化生細胞の種類(分化の方向)が変わる気管支の扁平上皮化生、バレット食道
萎縮いったん発達した組織が縮む廃用性萎縮、筋ジストロフィーの筋萎縮(脂肪・線維で置換)
異形成細胞の大小不同・配列の乱れ(前癌病変)子宮頸部異形成
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